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アイアンマンのように飛び、キャプテン・アメリカのように戦う『ロケッティア』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.43】

アイアンマンのように飛び、キャプテン・アメリカのように戦う『ロケッティア』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.43】

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ジョー・ジョンストンがおくるレトロフューチャーな冒険活劇



 『スター・ウォーズ』オリジナル三部作の特撮スタッフを経て、『ミクロキッズ』で監督デビューを果たしたジョー・ジョンストンが次にメガホンを取ったのは、デイブ・スティーブンスによるヒーローコミックを原作とした『ロケッティア』(91)だった。背中に背負ったロケットで自由自在に飛び回るヒーローの、ロマン溢れる冒険譚である。


 ときは第二次世界大戦前夜とも言うべき1938年のロサンゼルス近郊、若き曲芸飛行士クリフ・シーコードは技師のピーヴィーとともに、航空レースに備えてレース用機体を3年の歳月を費やして整備してきたが、初飛行中にマフィアとFBIの銃撃戦による流れ弾を受けて大破させてしまう。マフィアはある物を盗んで逃走していたところであり、FBIの追手が迫る中、盗んだものをクリフたちの使う格納庫に隠すが、飛行機を失って失意の中にあったクリフが、あとでそれを発見することから、彼の物語が動き出す。


 彼が見つけたのは背中に背負って空を飛ぶことができる、いわゆるロケットパックであった。これを背負って飛べば、航空ショーで儲けて失った飛行機の穴埋めができる。最初はそんな気持ちだったクリフだが、やがてロケットパックを巡ってマフィアとFBI、さらにはナチスのスパイまで関わってきて、クリフとその恋人ジェニーは追われることになる……。


 舞台設定やレトロフューチャーな雰囲気から、なんとなく原作はその時代に描かれたコミックかのように感じられるが、実は映画化からたった9年前の1982年が初登場。インディアナ・ジョーンズと同様、すでに忘れられて久しかった古典的なジャンルを、新しい息を吹き込んで蘇らせたという具合である。


 映画の方も、時代の雰囲気はもちろん、よく作り込まれたロケットパックやヘルメットといった装備、炎を吹き出しながらひとが自由自在に飛び回る映像もよく出来ていて見応えがある。個人的には主人公クリフがヒーローになろうとしてなるのではなく、あくまで恋人や飛行士としての夢を追い、それらを守ろうとした結果、同時に世界も救ってしまうという運びが好きだ。


 ロケッティアのデザインもいい。銀色で流線形のロケットパックに対し、着ているのが革のジャケットや腿の膨らんだ乗馬ズボン、ブーツといった組み合わせが素敵だ。クリフが偶然見つけた夢のガジェットはロケットパックだけだったが、親友ピーヴィーが飛行中の方向を操作できるようにフィンのついたヘルメットを作ってくれたおかげで、正体不明の空飛ぶ男、ロケッティアが完成する。鋲がたくさん打ってある銀色のロケットパックに対し、ヘルメットは金色で手作り感のある溶接跡が残っているのも、アクセントが効いている。


 このクリフとピーヴィーだが、ピーヴィーが年配の天才的な技師で若きクリフのよき理解者であること、また吹き替えがそれぞれ山寺宏一と青野武であるせいか、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティとドクのようにも見える。しかし、ここではピーヴィーはロケットパックの改良を行うだけで、言うまでもなくその発明者ではない。では、この夢のガジェットを生み出したのは誰なのか。実はその人物によってロケッティアはマーベルの二大ヒーローとも通じる点が見えてくる。


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