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『恋におちたシェイクスピア』に於ける脚本の妙。虚実の中から紡がれる真実

(c)Photofest / Getty Images

『恋におちたシェイクスピア』に於ける脚本の妙。虚実の中から紡がれる真実

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史実と虚構の絶妙なバランス



 映画で描かれる通り、16世紀当時の舞台は女人禁制で、代わりに変声期前の少年の俳優が女装して舞台に立っていた。また、シェイクスピアにとってライバルの劇作家として登場するクリストファー・マーロウも実在の人物だ。オーディションにやって来る俳優たちが皆、マーロウの代表作「フォースタス博士」の台詞を口にしてシェイクスピアをがっかりさせる場面は、2人の関係を否が応でも連想させる。



『恋におちたシェイクスピア』(C) 1998 Miramax Film corp. and Universal Studios. All Rights Reserved.


 また、ジェフリー・ラッシュ演じるローズ座のプロデューサー、ヘンズローや、エリザベス朝の名喜劇俳優として名高いウィル・ケンプ、最高の名優として謳われたリチャード・バーベッジも実在の人物だ。そして、トマス・ケントと名乗って舞台に立つヴァイオラに労いの言葉をかける時の英国君主、エリザベス女王も勿論実在する。女人禁制を破った舞台とはいえ、女王のお墨付きを貰ったからには罰することはできないという話の展開に、エリザベス女王は必要不可欠なキャラクターだ。男装したヴァイオラと、女でありながら一国を仕切り、諸外国と渡り合う女王の境遇が重なり合う時、史実と虚構を合体させた脚本からは上質な香りが漂い始める。



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