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『チャンプ』親子ドラマと壮絶なるボクシングが生んだ号泣映画

(c)Photofest / Getty Images

『チャンプ』親子ドラマと壮絶なるボクシングが生んだ号泣映画

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現場で育まれた演技の師弟関係



 とはいえ、ジョン・ヴォイトが本作で最も長く対峙し続けた真の相手は、大人のボクサーではなく、むしろ息子役のリッキー・シュローダーだった。


 奇しくも同年公開された『クレイマー、クレイマー』(この映画も夫婦の離婚を扱った家族ドラマだ)にて名優ダスティン・ホフマンと子役ジャスティン・ヘンリーが多くの観客を魅了したように、本作もまた、父子役ふたりの演技合戦がとにかく見事なのである。


 当然ながら、子役側はまだ場数も少なければ、演技メソッドを習得しているわけでもない。そんな子供と名シーンを紡ぐためには、大人側が的確に導いてあげることが何よりも重要だ。本作でもヴォイトが本当の父子のように親身になってシュローダーを導いていったというが、その指導はかなり濃密で、実践的だったようだ。




 まず、二人の間に自然な空気を生じさせるためには、台本にはないアドリブを柔軟に取り入れることが重要となる。その点、相手のセリフが変わると「はっ」と驚いて黙りこんでしまうシュローダーに対して、ヴォイトは「大事なのはセリフが正確かどうかではない。まずは相手のセリフをよく聞くこと。そしてセリフの意味を考えること」と諭したのだとか。


 要は、意味さえあっていれば自由にセリフを変えても構わないということだ。監督のフランコ・ゼフィレッリもその点は寛大だった。単なる無邪気な子役ならこの時点でちんぷんかんぷんになって泣き出してしまうところだろうが、名子役のシュローダーは違った。しっかりと相手の演技を見るようになり、ヴォイトとのアドリブもかなり高度な仕上がりを見せた。



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