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『それでも夜は明ける』追い風を受け歴史を塗り替えたオスカー受賞作

(c)Photofest / Getty Images

『それでも夜は明ける』追い風を受け歴史を塗り替えたオスカー受賞作

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スタッフ・キャストのマルチなバックグランド



 監督のスティーヴ・マックイーンは、イギリス生まれのイギリス育ちである。本作の舞台となったアメリカの出身ではない。


 マックイーンだけでなく、主演のソロモン・ノーサップを演じたキウェテル・イジョフォーもイギリス出身、非道なエドウィンを演じたマイケル・ファスベンダーはドイツ生まれのドイツ系アイルランド人だ。奴隷のオーナーである聖職者ウィリアムを演じたベネディクト・カンバーバッチもイギリス出身、本作でアカデミー助演女優賞を受賞した奴隷のパッツイ役のルピタ・ニョンゴはメキシコ生まれのケニア人で、アメリカ人俳優を探すのが難しいほどである。


 これでは、「誰もアメリカ南部のことを知らず、まともに描けるわけがない」「南部方言が下手すぎで見ていられない」という批判が出そうなものだが、本作ではそういう批判はあまりなかった。カンバーバッチに至っては、「南部方言がうまい」と褒められていた。



『それでも夜は明ける』(c)Photofest / Getty Images


 そして、大工のサミュエルを演じたブラッド・ピット。彼の製作会社プランBエンターテインメントが製作を担当し、プランBにとっては『ディパーテッド』(06)に次ぐアカデミー作品賞の受賞となった。


 また、マックイーン監督とファスベンダーの関係は非常に深く、長編監督デビュー作となった『HUNGER/ハンガー』(08)から『SHAME -シェイム‐』(11)、そして『それでも夜は明ける』と3作続いてタッグを組んでいる。『HUNGER/ハンガー』では、長回しが使われているが、なんと20分にも渡るセリフだけのシーンで、映画史に残るほどの長さを二人で生み出している。



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