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ジョン・シングルトン監督の半自伝的映画『ボーイズ'ン・ザ・フッド』のメッセージとは

(c)Photofest / Getty Images

ジョン・シングルトン監督の半自伝的映画『ボーイズ'ン・ザ・フッド』のメッセージとは

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『ボーイズ'ン・ザ・フッド』あらすじ

1984年、ロサンゼルスのサウス・セントラル地区。トレは暴力否定のしっかりした考えを持つ父に育てられた優等生。だが、学校で問題を起こし、そのせいで母親から「あなたとはもう無理、パパのところに行って」と言い放たれ、父親のもとへ行くことになる。そこで、アメフト好きのリッキーとその兄のダウボーイに出会い友達になる。7年後、真面目な青年に成長したトレは悪くない環境で生活をしてたが、友達のダウボーイが”悪の道”に進んだことがきっかけでギャングと警察の抗争に巻き込まれていくーー。


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これこそがアフリカン・アメリカンの現実



 2019年4月に、51歳の若さで急逝した、ジョン・シングルトン監督。彼が23歳のときの長編デビュー作にして代表作でもある、若い感性と洞察に溢れた青春映画の傑作が、『ボーイズ'ン・ザ・フッド』(91)だ。シングルトン監督は本作によって翌年、その若さでアカデミー賞監督賞にノミネートされるという快挙を果たしている。


 『ムーンライト』(16)でアカデミー賞作品賞を受賞したバリー・ジェンキンス監督は、かつてハリウッドのアクション大作映画ばかりを見ていた少年時代に『ボーイズ'ン・ザ・フッド』に出会い、「マジかよ!(“Holy shit!”)これこそ俺の人生だ!これが俺の世界そのものだ!」と衝撃を受けたのだという。『ボーイズ'ン・ザ・フッド』が存在しなければ、『ムーンライト』も存在しなかったのかもしれない。


『ボーイズ'ン・ザ・フッド』予告


 バリー・ジェンキンスが、その圧倒的なリアリティに影響を受けたように、本作『ボーイズ'ン・ザ・フッド』は、それまでによく見られた、白人男性の監督が黒人社会にシンパシーを込めて描くような映画とは、まったく次元が異なる、“本物”の世界を映し出していた。スパイク・リー監督の歴史的傑作『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)がそうだったように、アフリカ系アメリカ人が自分たちの生きてきた世界を、実感を込めて描くというジャンルが、彼らを起点に生まれ始めたのである。



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