2019.12.30
『アメリカン・ギャングスター』あらすじ
ハーレムを仕切るギャングのボスに15年間仕えてきた運転手のフランクは、ボス亡き後、一匹狼として生きることを決意。ベトナム戦争の軍用機を利用して、東南アジアの良質な麻薬を直接生産者から仕入れ密輸し、安価で幅広く大衆に販売し始める。瞬く間に巨万の富を築き、マフィアからも一目置かれる麻薬王の座に上り詰める。派手な行動を慎むことで、その正体は長い間、誰にも気づかれる事はなかったが、ついに、疑惑の目を向ける刑事のリッチー・ロバーツが現れる。公然と横領や恐喝がなされる腐敗がはびこる警察内で、汚職に手を染めることを拒み続けた彼は、特別麻薬取締局に配属され麻薬ルートの解明とそれ以上の巨漢に立ち向かい、フランクを徐々に追い詰めていく・・・。
Index
アメリカのギャングスター、フランク・ルーカス
「俺の間違いから若い子たちは学んで欲しい。学校に残り、出来るだけ高い学位を取得して卒業して欲しい。それこそが生きる道だ」ーー 2019年6月1日のニューヨーク・タイムズの紙面に掲載された訃報記事の最後には男の言葉がそう記されている。世界的に有名なニューヨーク・タイムズに訃報記事が掲載された前日、フランク・ルーカスは88歳の生涯を終えた。
政治家でもなく芸能人でもないフランク・ルーカスの訃報記事が載った理由は、デンゼル・ワシントンがフランク・ルーカスを演じた映画『アメリカン・ギャングスター』(07)の存在があるからに他ならない。その映画タイトルが示す通り、フランク・ルーカスはアメリカのギャングスター……犯罪者なのだ。
本作は、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)が、ハーレムの闇社会を仕切っていたバンピー・ジョンソン(クラレンス・ウィリアムズ三世)が亡くなった後、その後釜となるべくライバルと縄張り争いをしながら、他のギャングたちがやらなかった画期的なシステムを確立し麻薬売買で成功、麻薬刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)と対立していくことを描くクライム・ドラマだ。
『アメリカン・ギャングスター』予告
『エイリアン』(79)や『ブレードランナー』(82)などのリドリー・スコットが本作の監督であり、大物プロデューサーのブライアン・グレイザーと共に製作も担当している。リドリー・スコットは、本作に出演しているラッセル・クロウが主演の『グラディエーター』(00)などで3度もアカデミー監督賞にノミネートしている鬼才である。脚本は、『シンドラーのリスト』(93)でアカデミー脚色賞を受賞しているスティーヴン・ザイリアンが担当だ。成功が約束された本作も当然ながら、第80回アカデミー賞の助演女優賞(ルビー・ディー)と美術賞にノミネートされた。