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マイケル・チミノ監督『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』で結ばれた男たちの友情の数々

(c)Photofest / Getty Images

マイケル・チミノ監督『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』で結ばれた男たちの友情の数々

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『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』あらすじ

ニューヨーク市警の刑事スタンリー・ホワイトは、犯罪の頻発するチャイナタウンの取り締まりを開始、強引な摘発を続ける。チャイニーズ・マフィア全体を潰そうとするスタンリーに対し、マフィアのボス達は強く反発、しかも警察上層部もマフィアとも繋がっていた。一方、チャイニーズ・マフィア新世代のボス、ジョーイ・タイはイタリアン・マフィアや身内の旧体制派、かつての取引相手を容赦無く粛清し勢力を拡大していく。かつてない緊張が高まる中、タフな刑事と若きボス、この二人の対決が今始まろうとしていた。


Index


マフィア映画の系譜として製作



 オリエンタルムードのあるエキゾティックな弦楽器の旋律と心臓の鼓動のような打楽器音。『シシリアン』(87)や『逃亡者』(90)でマイケル・チミノ監督と組んだデヴィッド・マンスフィールドによる、いかにも“バトル”=“闘い”を喚起するようなメロディで幕が開ける。そしてまさに、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(85)は、男と男の“闘い”を描いた映画なのだ。しかも刑事が主人公でありながら、構図としては「やられたらやり返す」というマフィア映画や日本のヤクザ映画のような類の作品だ。


 公開当時、日本の予告編では、<1972年『ゴッドファーザー』  1973年『バラキ』  1984年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』  そして1986年陽春  巨大なバイオレンス・ドラマが上陸する!>(注:表記は映像のまま)との煽り文句と共に、なんとBGMには「ゴッドファーザー 愛のテーマ」が使われていた。映画少年だった筆者も「さすがに1973年から1984年は飛びすぎやろ?」とツッコミを入れていたのだが、それでもこのことは、当時の映画界がマフィアを題材にした映画の新たな鉱脈として、様々なバックグラウンドを持つ集団を探していたことを物語っている。


『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』予告


 例えば『ゴッドファーザー』はイタリア系アメリカ人、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』はユダヤ系アメリカ人といったように、移民たちの歴史とともにギャングたちの姿が描かれていた。その後も『アンタッチャブル』(87)や『ブラック・レイン』(89)、『グッドフェローズ』(90)や『キング・オブ・ニューヨーク』(90)などの作品が製作されたのは既知の通り。『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』は、そのような系譜の中で中国系アメリカ人たちによる“チャイニーズ・マフィア”を描いた作品だったのだ。



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