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マイケル・チミノ監督『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』で結ばれた男たちの友情の数々

(c)Photofest / Getty Images

マイケル・チミノ監督『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』で結ばれた男たちの友情の数々

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酷評された公開当時



 しかし、『ゴッドファーザー』が「マフィアを礼賛した映画」との批判に晒されたのとは別の意味で、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』は中国系アメリカ人から「差別的だ」と罵倒された(本編を観れば、アジア人に対する差別用語のオンパレードであることが判る)。


 ヴェトナム戦争に従軍したスタンリー刑事(ミッキー・ローク)は、アジア人に対する偏見や差別意識を持っているという設定。ヴェトナム戦争による後遺症というよりも、戦争に負けた腹いせでアジア人に対する憎悪があり、その怒りが中国系マフィア壊滅の原動力になっているようにさえ見えるのだ。『ディア・ハンター』(78)でハリウッド映画として初めて本格的にヴェトナム戦争を描いた、マイケル・チミノ監督による演出だけに複雑だ。



(C)2007 LEGENDE - TF1 INTERNATIONAL - TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o. - SONGBIRD PICTURES LIMITED Visa d’exploitation N°111 803 Dépôt légal 2007


 そして、作品に対する当時の評価も散々で、第6回ゴールデンラズベリー賞では作品賞など5部門で候補となる不名誉を得ただけでなく、2,400万ドルの製作費に対して北米の興行収入が約1,870万ドルという不本意な結果に終わっている。


 それでも、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』は今なお輝きを放っている。ミッキー・ローク演じるグレーヘアーの刑事とチャイニーズ・マフィアの若きドンを演じたジョン・ローンの“闘い”は、どこか色気が漂っていた。本作の後、ミッキー・ロークは『ナインハーフ』(86)で、ジョン・ローンは『ラストエンペラー』(87)で女性ファンを熱狂させ、ともにサントリーのCMに起用されている。



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 注目すべきは、『ゴッドファーザー』に出演していたある俳優をチャイニーズ・マフィアとイタリアマフィアとの会談場面でマフィア幹部役として起用している点。彼は『ゴッドファーザー』冒頭の結婚式場面で招待客のひとりを演じ、『グッドフェローズ』や『フェイク』(97)、テレビドラマ「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」(99〜07)でもマフィアを演じている。その男、トニー・リップは、1960年代に黒人ピアニストであるドン・シャーリーの運転手(兼ボディーガード)を務めていた人物。そのエピソードを基にした映画が、第91回アカデミー賞で作品賞に輝いた『グリーンブック』(18)なのだ。



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