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『トレーニングデイ』デンゼル・ワシントンのオスカー受賞演技や本物のギャングが描く、リアルなロサンゼルス

(c)Photofest / Getty Images

『トレーニングデイ』デンゼル・ワシントンのオスカー受賞演技や本物のギャングが描く、リアルなロサンゼルス

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『トレーニングデイ』あらすじ

ロス市警(LAPD)の麻薬取締課に配属された新人刑事ジェイク。一緒にコンビを組み麻薬捜査にあたるのは、ベテラン捜査官のアロンゾ。アロンゾは犯罪摘発のために暴行、脅迫、証拠ねつ造と、どんなことでもする刑事だった。そんなアロンソに、正義感の強いジェイクは不信感を募らせていく。


Index


ニュースになる前に書かれた脚本



 ロサンゼルス市警の汚職事件をご存知だろうか?90年代、ロサンゼルス一番の市街地ダウンタウン地区などを管轄しているランパート署で起きた、強盗や暴行などの汚職事件のことだ。ちなみに『ストレイト・アウタ・コンプトン』(15)の冒頭、戦車が家に突撃したのは、この署のクラッシュ作戦だった。


 ランパート署の所属警官たちは、ラッパーのトゥパック・シャクールやノートリアス・B.I.G.の殺人事件にも関与しているという疑いもあり、とんでもなく恐ろしい警察組織なのである。このランパート署の汚職については、ウディ・ハレルソン主演『ランパート 汚れた刑事』(11)なども製作されており、今では広く知られる事件だ。


『ランバート 汚れた刑事』予告


 本作の脚本家、デヴィッド・エアーは、ティーンの頃から黒人系とメキシコ系ギャングが生活する、ロサンゼルスのサウスセントラルに住んでいた。自然とギャングたちと仲良くなっていたエアーは、彼らから「警官が俺たちから搾取している」と聞き、警察の汚職とギャング・バイオレンスについての脚本を書こうと決める。その時はまだ、汚職が世間に明らかになる前で、知る人ぞ知る事実であった。


 エアーが書き上げた脚本では、ロサンゼルス市警の麻薬取締課に異動となった新人ジェイク・ホイト(イーサン・ホーク)が、ベテラン刑事で汚職の疑いがあるアロンゾ・ハリス(デンゼル・ワシントン)に付いてトレーニング(訓練)を受ける1日を通して、善と悪が対立していく様が描かれていた。


 エアーは、アメリカ海軍を除隊した後ロサンゼルスに戻り、この『トレーニング デイ』の脚本を仕上げたが、脚本を読んでも誰も信じず、映画製作に踏み切って貰えなかったという。1997年頃からランパート署絡みで起きた事件が徐々に明らかになり、1998年には、ノートリアス・B.I.G.殺人事件など多くの事件に関与の疑惑があるラファエル・ペレス警官が逮捕され、ランパート署の悪事の全貌が明らかになった。そこからデヴィッド・エアーの脚本への風向きが変わり、大手ワーナー・ブラザーズが製作に踏み切ったのである。



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