本物のギャングが裏方に
ロサンゼルスと言えば、ギャングである。全米で勢力を伸ばすギャング、ブラッズとクリップスも、ロサンゼルスで生まれた。映画『カラーズ/天使の消えた街』(88)でも分かるように、彼らは色分けされている。ブラッズはその名前を意味する血の色の赤、そしてクリップスは青である。本作に出演するギャングはほぼ赤、つまりブラッズのメンバーであることを意味している。
本作でブラッズのメンバーが占めたことには理由がある。実際のギャングのアジトがある地域で撮影する場合、地元の本物のギャングにおぜん立てをしてもらわないとスムーズに撮影が出来ない。今回は、クレ・”ボーン”・スローンという男が撮影の協力をし、本編ではセリフまである役も貰っている。そのスローンが、ブラッズ出身なのである。
『カラーズ/天使の消えた街』予告
スローンは、現在もTVシリーズ『サンズ・オブ・アナーキー』(08-14)や、『ルディ・レイ・ムーア』(19)にて、テクニカル・アドバイザーという肩書で、撮影協力をしている。また、『ストレイト・アウタ・コンプトン』撮影中には、映画の内容に激怒したシュグ・ナイトに襲撃され、怪我を負った。
スローンのようなテクニカル・アドバイザーを雇うようになったのは本作からであり、それだけ本作がリアルさにこだわった証拠である。
まさに、映画製作のプロ集団と本物のギャングが集結し、よりリアルに正真正銘のロサンゼルスを映し出そうとした作品だ。そこには私たちがイメージするロサンゼルスの燦々と輝く太陽も、そびえ立つヤシの木も、地平線に続く青い海など、全くなかったのである。