アジア映画の影響
監督は、チョウ・ユンファ主演『リプレイスメント・キラー』(98)と、ジェイミー・フォックス主演『ワイルド・チェイス』(00)に続き、本作が3作目となるアントワン・フークアが担当した。フークワは、黒澤明に憧れてエンジニアから映画監督への道へと進み、プリンスやスティーヴィー・ワンダー、珍しいところで松田聖子のミュージックビデオを手掛けており、映画長編監督としてはまだ駆け出しであった。しかし、そんな若手監督だったからこそ、ベテランのデンゼル・ワシントンは自由にアドリブして、アロンゾというキャラクターを組み立てることが出来たのだろう。
こうして、デンゼル・ワシントンとアントワン・フークアという新しい名コンビが誕生し、その後は、『イコライザー』(14)と、続編の『イコライザー2』(18)、そして『マグニフィセント・セブン』(16)と、計4作も組むことになる。
また、『リプレイスメント・キラー』では、ジョン・ウーが製作総指揮だったこともあり、フークワは香港ノワールの影響を受けることとなる。その影響を受けたフークアの映像美とロサンゼルスのダークな部分が本作で見事に重なっている。燦々と輝く太陽と空高くそびえ立つヤシの木だけが、ロサンゼルスではないことを知ることになるのだ。
『リプレイスメント・キラー』予告