(c)1984 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
『ゴーストバスターズ』初期段階で想定されていた、幻のメンバーとは一体誰?
『ゴーストバスターズ』あらすじ
ピーター、レイモンド、イーガンの科学者3人組が結成したオバケ撃退部隊“ゴーストバスターズ”。派手な宣伝のおかげで3人が一躍人気者になった頃、ニューヨークでは“門の神ズール”と“鍵の神ビンツ”が出会おうとしていた。2つの神が人間の体を借りて結合した時、世界は悪魔の支配下におかれてしまう。おまけにゴースト貯蔵庫から無数のオバケが解放され、街はいよいよ大混乱に。世界の危機を救うため、“ゴーストバスターズ”がついに立ち上がった・・・。
Index
- オカルト好きのダン・エイクロイドが構想したSF世界
- 当初想定されていたのは全く違うメンバーだった?
- リアル志向へのシフトと、伝説の3人組の誕生
- 即興劇団出身ならではの、絶妙な演技の応酬
- 緑色オバケのモデルは故ジョン・ベルーシって本当?
オカルト好きのダン・エイクロイドが構想したSF世界
1984年に公開され世界規模で爆発的なヒットを記録した『ゴーストバスターズ』。この作品をきっかけに主演の3人組は一躍時代の寵児となり、これまでの暮らしは一変。そのあまりのフィーバーぶりにまともに街を歩くことさえできないほどだったとか。映画のクライマックスで彼らに寄せられる歓声は、まさにその状況を予言していたとも言えるだろう。
完成した作品を観ていると、当初からビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、ハロルド・ライミスの黄金の3人ありきで企画が進められてきたような、そんな完璧なチームワークを感じずにいられない。だが、映画作りの背景では、実は彼ら以外の様々なキャスティングの選択肢が浮上していたという。またストーリー的にも全く異なるものに仕上がる可能性もあった。その一つ一つの運命的な取捨選択を重ねた上で、この奇跡的な化学反応を持つ傑作SFコメディが誕生したのである。以下、その隠された製作の背景を覗いてみることにしよう。
まず我々が踏まえておくべきは、この原案が生まれたきっかけだ。着想したのはバスターズの一員でもあるダン・エイクロイド。そもそも彼は超常現象に関心の深い家庭で生まれ育ち、ダン自身も大学で犯罪心理学を学んだり、全米心霊研究協会の会員だったりと、かなり異色な肩書きを持っている男だ。
『ゴーストバスターズ』(c)1984 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
すでにコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で人気者となり、そこで登場させたキャラを映画化した『ブルース・ブラザーズ』でも大成功を収めていた彼は、ある日、量子物理学と超心理学に関する記事を読んでいた際、ふとその二つの分野を結びつけて何か面白いストーリーができやしないかと考えた。幼い頃から大好きだったボブ・ホープやアボット&コステロのようなオバケ退治を扱ったコメディと融合させて、誰も思いつかないような異色の世界を築き上げようとしたのだ。そこからオバケを捕獲する装置などの具体的な構想が次々と膨らみ、「未来世界を舞台に、全米に乱立したオバケ退治の専門会社が互いに競い合う」という原案がおぼろげながら出来上がっていく。