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『エンドレス・ポエトリー』伝説のクリエイター、アレハンドロ・ホドロフスキーとは何者!?

(C) 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky

『エンドレス・ポエトリー』伝説のクリエイター、アレハンドロ・ホドロフスキーとは何者!?

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青春の思い出は甘美で、切なく、そして残酷で、鮮烈



 2017年に公開された『エンドレス・ポエトリー』は『リアリティのダンス』の続編で、思春期から青年期へと移行する時期を描いたもの。だが、ホドロフスキーのことをこれまで知らなかった人も、『リアリティのダンス』を見ていなかった人であっても、惹きつけられる物語となっている。それは、親からの離脱、初めての恋、表現者としての自分を獲得するまでの青春映画として成り立っていて、なおかつ、クリエイターが自分の自我を獲得していく成長期を祝福するかのように、ホドロフスキーは凄まじい熱量で巣立ちの物語を色付けしているのだ。彼の両親はウクライナからの移民で、移住先のチリで信じられるのは金であったのは仕方がない。息子にも安定した生活を望み、多くのことを束縛していく。母は強圧的な父の攻撃から逃避するためか、会話はすべて歌であり、一人だけ楽園の中にいるかのよう。こんな両親を愛しながらも、彼は引かれたレールの上を進むことに疑問を持つ。



『エンドレス・ポエトリー』(C) 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky


 父の敷いた未来予想図からの離脱のきっかけがスペインの詩人、フェデリコ・ガルシア・ロルカだ。鮮烈な詩を綴り、同時代の若者の心を響かせながらも、1936年に始まったスペインの内戦の混乱の中、フランコ将軍の率いる反乱軍側にとらえられ、処刑されてしまう。フランコ側が多くの文化人を逮捕、投獄、そして処刑した時代の痛みはスペインの名匠、ビクトル・エリセの『 みつばちのささやき』(1973)や『 エル・スール』(1982)、ホセ・ルイス・クエルダの『 蝶の舌』(1999)に詳しい。


 ホドロフスキーの父はバリバリの共産主義者だったので、詩の力が持つ自由な精神を恐れていたのであろうが、それ以上に映画の中では同性愛者であったロルカのことを実に口汚く罵り、息子を詩から遠ざけようとする。ホドロフスキーの従弟はゲイであることを家族に打ち明けられず、絶望して自殺をし、ホドロフスキーはその死を乗り越え、家から出て、詩人としてまずは世の中と向き合うこととなる。




 ホドロフスキーは実際に自分が住んでいた首都サンティアゴの今はシャッター街となったストリートに、実寸大コピーした、かつて華やかだった時代の商店街の写真をそれぞれの建物に貼り付け、立体的な紙芝居のような虚構の世界を浮かび上がらせる。毒婦のような真っ赤な髪の詩人に恋い焦がれ、彼女と暮らすようになるが、その彼女と、実家で歌う母親が、実は同一人物が演じていることは、あまりのビジュアルの違いに気づく人はほとんどいないだろう。そして無意識であれ、童貞を捨てる女性と母親を重ねる青年のマザーコンプレックスを指摘して見せる。「こうでなければならない」と数々の因習にこだわる父を反面教師に、若きホドロフスキーは芸術家になることで、世の中のタブーをことごとく踏みにじっていく。その華麗なる絵巻物のような世界を、美しい美術と、ホドロフスキー同様、放浪のカメラマン、 クリストファー・ドイルがサプライズの連続で見せていく。



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