(C) 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky
『エンドレス・ポエトリー』伝説のクリエイター、アレハンドロ・ホドロフスキーとは何者!?
2017.12.27
そもそもホドロフスキーとは何者なんだ?
ホドロフスキーの人生は逸脱の連続で、『エンドレス・ポエトリー』で描かれた後は、メキシコで舞台演出家として名を挙げ、その後はパリでパントマイムや バンド・テシネ(コミック)の原作者としても著名になる。タロットの研究者としても有名で、心理療法の世界にも名が響き渡っている。
彼が1970年に発表した『 エル・トポ』は強さを求めたガンマンが行く先々で自身を試されるイニシエーションの物語と言えるが、それが当時、大スターだったジョン・レノンの心を奪い、レノンは45万ドル(当時の日本円で1億6千万円)で配給権を購入。アンディ・ウォーホルやミック・ジャガーなどエッジの利いたクリエイターたちを熱狂させ、ホドロフスキーはカルト作家と呼ばれるようになる。75年にはアメリカの作家、フランク・ハーバートによるSF小説のシリーズ『デューン/砂の惑星』の制作を始めるが、あまりにも壮大なイマジネーションを理解するプロデューサーを得ることができず、断念(その過程はドキュメンタリー映画『 ホドロフスキーのDUNE』(2013)に詳しい)。
『エンドレス・ポエトリー』(C) 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky
まさに場所と時代に応じて、表現者としての枠を常に自由自在に組み替え、誰も真似できない独自の世界を築き上げる。現在88歳だが、メキシコ時代、パリ時代、そしてDUNE時代とまだまだ描くべき個人史は残されていて、でもきっと彼なら100歳になっても仙人の様に優雅に映画を撮り続けているような気がしてならない。
映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」「装苑」「ケトル」「母の友」など多くの媒体で執筆中。著書に映画における少女性と暴力性について考察した『ブロークン・ガール』(フィルムアート社)がある。『90年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)、『アジア映画の森 新世紀の映画地図』(作品社)などにも寄稿。ロングインタビュー・構成を担当した『アクターズ・ファイル 妻夫木聡』、『アクターズ・ファイル永瀬正敏』(共にキネマ旬報社)、『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(スペースシャワネットワーク)などがある。
『エンドレス・ポエトリー』
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/endless/
(C) 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE
photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky
※2017年12月記事掲載時の情報です。