『エイリアン』SF映画屈指の傑作ホラーを作った天才たちとは

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2017.10.20村山章

『エイリアン』あらすじ

地球への帰路を急ぐ宇宙船ノストロモ号に、謎の異星人（エイリアン）が侵入した。姿を見せない敵は本能の赴くままに一人、また一人と乗組員の命を奪っていく。未知の進化を遂げた生命体には人類の持ついかなる武器も通用しない。閉鎖された宇宙船内で、姿を見せぬ完全生物とだた一人生き残ったリプリーとの絶望的な闘いが始まろうとしていた……。

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希代のビジュアリスト、リドリー・スコットを支えた天才たち

　スティーブン・ソダーバーグはリドリー・スコット監督の『エイリアン』（79）について「どんな監督だって（これほどの傑作を）自分が監督していればと願わずにいられない」と絶賛のツイートをしたことがある。同業者も憧れずにいられない完璧な作品、ということだろう。

　最良の恐怖映画であり、緻密なSF映画であり、映画史上最も有名な宇宙怪物“エイリアン”のイメージを打ち出した『エイリアン』が、監督のリドリー・スコットの企画ではなく、『バタリアン』（85）のダン・オバノンのオリジナル脚本から始まったことは別の記事でも述べた。映画化権を買った20世紀FOXから監督のオファーを受けたリドリー・スコットは、初のSF作品を手がけるにあたって、詳細なストーリーボードを事前に描き上げ、細部にまでこだわり抜き、全体の８割は自分でカメラを回したという。

　しかし、映画監督になる前に数千本のCMを手がけ、美術から編集まであらゆるパートに精通した完璧主義者として名高いリドリー・スコットをもってしても、『エイリアン』のダークで芳醇なイメージをひとりで構築したわけではない。むしろリドリーは、幸運にも天才的才能を持ったスタッフたちに恵まれて、全体の指揮者として彼らのアイデアやイマジネーションを統合したのだ。

鬼才アレハンドロ・ホドロフスキーの夢と挫折が『エイリアン』を生んだ？