1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. (500)日のサマー
  4. 『(500)日のサマ—』こだわりのロケ地から見えてくる、映画の都ロサンゼルスの新たな顔
『(500)日のサマ—』こだわりのロケ地から見えてくる、映画の都ロサンゼルスの新たな顔

(C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『(500)日のサマ—』こだわりのロケ地から見えてくる、映画の都ロサンゼルスの新たな顔

PAGES


増え続ける、知られざるLAを映す作品



 『(500)日のサマ—』と同じように、近年、LAを舞台にしながら、独自の視点で街を切り取る作品が増えている気がする。


 その代表的な例が『ラ・ラ・ランド』。映画業界を描く部分も多いので、撮影スタジオなどLAの象徴も出てくるが、山頂にあるグリフィス天文台とその周辺の公園は、LAの街を上から望みながらも、どこか異世界のようなムードを醸し出している。そしてケーブルカーの「エンジェルズ・フライト」や、歴史ある映画館「リアルト・シアター」など、たまたまだろうが『(500)日のサマ—』と対をなすスポットも登場する。


 『ナイトクローラー』で特ダネのニュースを追うカメラマンがさまよう夜の街や、『ネオン・デーモン』で、モーテル、郊外の豪邸などを背景にした「不思議の国のアリス」のような美少女モデルの奇怪な体験では、それまでの映画にはなかったLAの光景が戦慄を誘う。この流れは、デヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』『マルホランド・ドライブ』あたりが源流と言えそうだ。


 ユニークなのは『her/世界でひとつの彼女』。近未来のLAという設定なのだが、上海で撮影された高層ビルの風景も合わさって、斬新な都市空間が映像の中に結実した。LAの地下鉄の駅など、妙に未来的デザインの場所が散りばめられており、この作品も「新たなLA」を体験させてくれる。


 ハリウッドは映画の都なので、LAで撮影が行われる作品は数多い。しかし近年、LAやニューヨークを舞台にした映画は、似たような風景のあるカナダのバンクーバーやトロントなどで撮影されるケースも増えている。撮影コストが圧倒的に安いからだ。そんな状況にあって、あえてLAでユニークなロケ地を探し、その場所に物語で重要な役割を与える。作り手たちの才気と意気込みが伝わる作品は、それだけで魅力を放つ


 「Los Angeles」の語源は「天使の街」。天使に誘われるように、映画の世界に迷い込みたいものだ。



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。 



今すぐ観る 


作品情報を見る




(500)日のサマー  20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント

希望小売価格 ¥1,419+税  2012年09月05日発売(発売中)

(C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. (500)日のサマー
  4. 『(500)日のサマ—』こだわりのロケ地から見えてくる、映画の都ロサンゼルスの新たな顔