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『(500)日のサマ—』こだわりのロケ地から見えてくる、映画の都ロサンゼルスの新たな顔

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『(500)日のサマ—』こだわりのロケ地から見えてくる、映画の都ロサンゼルスの新たな顔

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『ブレードランナー』と『(500)日のサマ—』で同じロケ地も



 その他にも『(500)日のサマ—』には、LAとは思えないロケ地が出てくる。終盤、トムが仕事の面接で訪れるのが、やはりダウンタウンにあるブラッドベリ・ビルディング。1893年に建てられた、アメリカの国定歴史建造物だけあって、ビクトリア調のクラシカルな内観が印象的。まるでヨーロッパにトリップしたかのようだ。一時、廃墟状態だったが修復され、あの『ブレードランナー』では早老症のセバスチャンが暮らすアパートとして、見事に近未来のさびれた風景と化していた。このビルはアカデミー賞作品賞の『アーティスト』などにも登場する。


 ちなみに『ブレ—ドランナー』では、同じくダウンタウンの鉄道のターミナル駅、ユニオン・ステーションが近未来の警察署に仕立てられたほか、ダウンタウンではないが、フランク・ロイド・ライトが建築した家が主人公デッカードの家として使われるなど、LAのユニークなロケ地が多い(ライト建築の家は『ブラック・レイン』で、若山富三郎が演じた菅井の邸宅としても使用)。


 話を『(500)日のサマ—』に戻し、トムとサマーが名作『卒業』を観るなど、劇中に3回登場する映画館は「ミリオンダラー・シアター」。アメリカでも最古の歴史を誇る映画館のひとつ(現在は閉館)であり、このようにLAのダウンタウンには歴史を重ねた建造物が多いというのがよくわかる。ヴィム・ヴェンダース監督の『ミリオンダラー・ホテル』も、ダウンタウンに実在した同名ホテルが舞台。実際にそのホテルがあった建物で撮影された。LAらしからぬ人々の日常を描きつつ、ちょっぴり幻想的な世界に誘い込む効果が、ダウンタウンにはあるのかもしれない。



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