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  4. まさかのトリロジーとなって日本再上陸する幻の傑作『ヘンリー・フール』巧みな語り口の肝となったハル・ハートリー流の“見せない”技術とは?
まさかのトリロジーとなって日本再上陸する幻の傑作『ヘンリー・フール』巧みな語り口の肝となったハル・ハートリー流の“見せない”技術とは?

まさかのトリロジーとなって日本再上陸する幻の傑作『ヘンリー・フール』巧みな語り口の肝となったハル・ハートリー流の“見せない”技術とは?

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カンヌで脚本賞を受賞した風変わりな物語



 今から20年ほど前、一本の映画がカンヌ国際映画祭で脚本賞に輝いた。その作品は映画界のメインストリームで飼い慣らされてきたものとはまるで違う個性を放ち、主人公の登場シーンさながら「颯爽さ」とは真逆の、どこからともなく現れた「得体の知れなさ」を宿していた。かといって決して尖っているわけではない。むしろどこまでも柔らかく、わかりやすく、ユーモラスで、可愛らしさえ感じるストーリー。


 作り手、ハル・ハートリーの名を今ここで叫んでみたところで「ああ!知ってる!」と呼応してくれる人はどれだけいるだろうか。ニューヨークを拠点とするインディペンデントなフィルムメーカーといえば、ジム・ジャームッシュやスパイク・リーなどが筆頭に挙げられるが、今から2、30年前、確実にその中にハートリーも含まれていた。『シンプルメン』、『トラスト・ミー』、『愛・アマチュア』など、手がけるのはどれも彼にしか成しえない独特の空気感を持った作品ばかり。




 のっけからすっかり「あの人は今」的なしめやかさが充満してしまったが、断っておくと彼は決して死んでなどいないし、過去の人などでもない。彼は彼なりに20年間、精力的に活動してきた。だが事実として、この日本では彼の手がけた名作群はDVD化されない状態が続き、鑑賞する手段としてはレンタル店でVHSを借りるくらいしか術がないほどだった。近年になってTSUTAYAの発掘良品などで一部が鑑賞可能となったが、それでもなお、傑作と呼ばれた幾つかの作品は過去に置き去りにされたまま。『ヘンリー・フール』はその典型ともいうべき作品だった。まさに幻の作品と言っていい。


 日本で触れる機会のなかったそんな本作が、ハル・ハートリー本人が呼びかけたクラウド・ファンディングによってリージョンフリーの状態でDVD&Blu-ray化されることになったのだから驚きだ。しかも日本語を含む5か国語字幕付きの状態で。さらに驚くべきことに、このボックス・セットには『ヘンリー・フール』のみならず、その続編にあたる『フェイ・グリム』(06)と『ネッド・ライフル』(14)が含まれる。つまり本作はいつしかトリロジーとなって、縦横無尽に神話を拡大させていたのだ。



 これを記念して、いま日本では再びハル・ハートリーの風が吹き始めている。洋画専門チャンネル ザ・シネマでは彼の作品の特集放送が組まれ、そして一部の選りすぐりの映画館では『ヘンリー・フール』3部作を含むハートリー作品がスクリーン上映されている。『フェイ・グリム』と『ネッド・ライフル』に至っては日本初上映である。



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