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家族の物語、ついに完結。クラウドファンディングがもたらした最終章は、ユーモラスな中にギリシア悲劇的な香りが際立つ『ネッド・ライフル』

家族の物語、ついに完結。クラウドファンディングがもたらした最終章は、ユーモラスな中にギリシア悲劇的な香りが際立つ『ネッド・ライフル』

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一作目から17年を経て完結する、ハートリー流“家族の物語”



 思えば、トリロジーの原点となった『 ヘンリー・フール』(97)はタイトルからして実に不思議な映画だった。そもそもゴミ収集人から詩人へと劇的な転身を遂げる中心人物はサイモン・グリムという名で、決してヘンリーではない。ヘンリーはずっとサイモンの耳元で自分勝手なことをくっちゃべるだけで、自らは何も動こうとはしない。他人への影響力はあるが、実力はなし。そんな彼がなぜ主人公なのか。


 この部分にも物事を一風変わった角度から物語るハートリーの醍醐味が凝縮されているように思えるが、続く『 フェイ・グリム』(06)、そして最終章『ネッド・ライフル』(14)を重ねるにつれ、そこにはファミリー・ムービーとしての輪郭がくっきりと浮かび上がってくる。つまり『ヘンリー・フール』というタイトルも、そしてキャラクターも、3つのピースが揃うことで初めて、本来あるべき強度を手に入れたと言えるのではないか。


 このトリロジーは、十数年という月日を駆け抜けた、ごくありふれたアメリカ人家族の物語。一作目が夫(ヘンリー)、二作目が妻(フェイ)ならば、三作目は夫婦の間に生まれた息子の物語になるのは当然の流れだった。キャスト陣にも『フェイ・グリム』に製作入りする時点で、続く三作目があるという旨が前もって告げられていた。




 言うまでもなく本作は、十数年の月日を経て主要キャストも監督も、同じ速度でじっくりと歳を重ねていく特殊な作品である。そのため本作『ネッド・ライフル』に主演するリアム・エイケンへの『ヘンリー・フール』参加の意思確認は慎重に行われたという。何しろ一作目の頃には幼ない子役だった彼も、『フェイ・グリム』の頃には立派な青年。この人生の決断の時期、彼が俳優の道を歩み続けるのかどうかはハートリーにとっても、チーム全体にとっても極めて重要なことだったのだ。



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