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『デッドプール2』で加速するミュージカル&80年代愛!

(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation

『デッドプール2』で加速するミュージカル&80年代愛!

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俺ちゃんが仕掛けた!? 80年代ブーム全盛



 もう一作、これはミュージカル作品ではないが、冒頭で使われる曲に注目したい。デッドプールが「ここで1曲」と言って流れるのが、「 9 to 5」である。これはコメディ映画『9時から5時まで』(1980)の主題歌。メインキャストの一人、ドリー・パートンが歌い、曲自体が大ヒットしたので、映画とセットになって記憶されることになった。主題歌のインパクトという点で、やや強引だが、ミュージカルに近い作品と言えなくもない。この曲に乗って、デッドプールが文字どおり、毎日「9時から5時まで(=一日中)」戦い続ける映像が展開していく。


 『9時から5時まで』が1980年で、『愛のイエントル』が1983年、『アニー』が1982年(ジョン・ヒューストン監督版)と、これらすべてが80年代の作品。この80年代への愛は、『フラッシュダンス』、『セイ・エニシング』といった映画から、a-haの「Take on Me」、エアサプライの「All Out of Love」、パット・ベネターの「We Belong」、ピーター・ガブリエルの「In Your Eyes」などの使用曲に至るまで、かなり際立っている。



『デッドプール2』(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation


 『セイ・エニシング』や「Take on Me」は、スティーヴン・スピルバーグの『レディ・プレイヤー1』でも引用されており、近年のアクション映画における80年代ブームを、この『デッドプール2』も受け継いでいるのだ。


 よく考えれば、すでに1作目の『デッドプール』で、ワム!の曲が印象的に使われるなど 80年代ネタが顔を出していた。1作目には『フェリスはある朝突然に』のパロディシーンもあり、その後に作られた『スパイダーマン:ホームカミング』や『パワーレンジャー』、『レディ・プレイヤー1』におけるジョン・ヒューズ作品へのオマージュの流れを先駆けていたと言ってもいい。良くも悪くも強烈で、革新的な80年代カルチャーは、30年を経た今、オマージュや引用、パクリの原点になりやすいのも確かで、“俺ちゃん”デッドプールは、映画界の流行も作っていた……のかも!?



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。



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作品情報を見る


『デッドプール2』

6月1日全国ロードショー

配給:20世紀フォックス映画

(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation


※2018年6月記事掲載時の情報です。

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