2017.08.19
スティーブ・ジョブズの伝記映画にも登場
興味深いことに、この楽曲”Both Sides Now”は昨今話題となった映画『スティーブ・ジョブズ』にも登場する。作家ウォルター・アイザックソンによる伝記を、ジョブズと親交のあったアーロン・ソーキン(『ソーシャル・ネットワーク』)が脚本化し、『トレインスポッティング』のダニー・ボイルが監督した本作。この中で幼い娘のリサが80年代のソニーのウォークマンで聴く曲もまた、”Both Sides Now”なのである。
もともと、複数のアーティストによってカバーされてきた曲ではあるが、本作での使われ方はこうだ。88年のNeXTcubeのプレゼンテーション直前、「何を聴いてるんだい?」と問われた娘リサは、父ジョブズに「同じ曲を二人の歌手がそれぞれ違ったバージョンで歌うのを繰り返し聴いているの」と答える。
だが画面上で実際の曲が流れることはない。あくまで無音の中、リサが楽曲から受けた印象を父スティーブに伝えることがこの場面のポイントとなっており、そこで交わされる言葉は捻れた父娘関係にある二人のメタファーにもなりえている。