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『ポトフ 美食家と料理人』が描くガストロミー/美食学の深み

(c)Carole-Bethuel(c)2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

『ポトフ 美食家と料理人』が描くガストロミー/美食学の深み

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料理を監修した三つ星シェフと日本との繋がり



 そこまで料理にこだわるからには、当然、本物の料理が必要だった。そこでトラン・アン・ユンは、三つ星シェフのピエール・ガニェールに料理の監修を依頼する。プレスキットによると、トラン・アン・ユンが初めてガニェールの厨房を訪れた時、彼はその日のメニューにあった素晴らしいポトフをご馳走してくれたという。


 以降、ガニェールは撮影現場では裏方に徹し、例えば、ズアオホオジロを料理するシーンでは、保護種であるズアオホオジロに代えてミニウズラを用意し、セット裏にある崩れかけた穴にカセットコンロをおいて調理したという。その献身ぶりにトラン・アン・ユンが感動したことは言うまでもない。お返しに、トラン・アン・ユンは劇中に登場するユーラシア皇太子のお抱えシェフ役をガニュールに依頼している。


 『ポトフ 美食家と料理人』(c)Carole-Bethuel(c)2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA


 ピエール・ガニェールは生まれ故郷のリヨンで父親が経営していたレストランを引き継ぎ、その後独立。フランス、ロワール県のサン=テティエンヌに自らの名前を冠した”ピエール・ガニェール”をオープンし、5年後にミシュランの二つ星を獲得。しかし負債により、1996年に星を返上するが、半年後支援者に支えられてパリで新店舗を開店、1998年には三つ星に返り咲く。


 彼の料理哲学は本作が目指すテーマとリンクしていて、2001年には、フランス国立農学研究所の物理学者エルヴェ・ティスとの共著で、ガストロミーに関する研究書「料理革命」を出版。日本とも縁が深く、2010年3月には東京・六本木のANAインターコンチネンタル東京内にフレンチレストラン”PIERRE GAGNAIRE TOKYO”を開店。同レストランでは映画の公開に合わせて、2024年の1月6日から2月29日まで究極のポトフが堪能できる。ホテルのホームページを開くと、そのポトフは、子牛や牛頰肉、鴨肉、牛骨髄、根セロリ、ポワローなどを7時間煮込んだブイヨン、ジュレ、そしてパンに乗せた牛骨髄の3皿構成でサーブされるとか。





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