Batman and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © Warner Bros. Japan LLC
『ニンジャバットマン』日本アニメの日光東照宮!?やり過ぎ傑作アニメを可能にしたものとは? ※注!ネタバレ含みます。
バットマン自体が内包する批評性
全てがレゴブロックで構築された世界で活躍するバットマンをCGアニメで描く『レゴバットマン ザ・ムービー』は見た目の可愛らしさとは裏腹に、バットマン自身の内面に深く切り込んでいく。同作は、「バットマンの活動とは、実は孤独な金持ちの道楽では?」という視点を軸にパロディを展開する。そしてバットマンは、常に一人で行動することにこだわるあまり、他者を思いやることができない未熟な人間(家族の愛を知らずに育った、わがままな子ども)として描かれる。
『レゴバットマン ザ・ムービー』予告
勿論ギャグとして作られているのだが、単なるおふざけで終わらない深みがある。なぜなら、ここで描かれるバットマンへの「おちょくり」は、裏を返せば全て「彼」の本質を正確に射抜く「揺さぶり」でもあるからだ。それはキャラクターを全否定しかねない批評性だ。もしかしたら、監督や脚本家は、どんどん内省的になり、爽快感を失うノーラン版バットマンへのアンチテーゼを表明したかったのかもしれない。
バットマンはかように、自己言及的な批評までを許す奥深さをキャラクターとして内面化している。そこまで、寛容なキャラクターだからこそ、DCコミックスは日本のクリエイターに全面的に内容を任せることができたと言えるだろう。
『ニンジャバットマン』Batman and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © Warner Bros. Japan LLC
そしてバットマンを託された日本のスタッフは見事に証明した。バットマンの懐はどれだけ詰めこもうが「スーパーの詰め放題の袋」のように簡単には破れない、と。
文:稲垣哲也
TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)など。現在、ある著名マンガ家のドキュメンタリーを企画中。
『ニンジャバットマン』
2018年6月15日(金)新宿ピカデリー他ロードショー
配給:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社
Batman and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © Warner Bros. Japan LLC
※2018年7月記事掲載時の情報です。