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アクション映画の巨匠ジョン・マクティアナン。『プレデター』を名作たらしめた悪夢のような現場とは

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

アクション映画の巨匠ジョン・マクティアナン。『プレデター』を名作たらしめた悪夢のような現場とは

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サルを使った特殊効果



 マクティアナン監督の前に立ちはだかったのは、地球外生物・プレデターの能力をいかに映像で表現するかという問題だった。


 最も頭を悩ませたのは、プレデターの主観映像。プレデターは生物の体温を感知するサーモグラフで敵を発見する。そのため、本物のサーモグラフを現場に持ち込み撮影を行ったが、全くうまくいかなかった。ロケ地のメキシコの気温は常に30度以上あり、周囲の温度と人体の温度差がほとんどなく、うまく撮影できなかったのだ。スタッフの提案で、役者の周りには氷水をおき、撮影の直前に役者を火にあたらせて温度差を作り出し撮影したという。しかしこの方法だと1~2カット撮るのに1週間かかってしまう。まさに悪夢だった。


 困り果てたマクティアナンはCMの視覚効果担当の会社に駆け込み、撮影したネガ映像の全体を青くし、人間の部分だけを彩色していったという。プレデターの主観カットの大半はそうして作られた。



『プレデター』(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.


 さらにもう一つの大きな問題がプレデターのスーツの重さだった。役者が着込むスーツは90キロ以上、高さは2メートル30センチにもなるため、これを着た俳優は動くのがやっとという有様だった。しかしプレデターはジャングルの木々を俊敏に飛び移る設定のため、これをどうにか映像化しなければならない。スタッフはバンジージャンプに使うような装置を自作し、それで俳優を吊り上げて木の間を飛び移らせようとしたがたが上手くいかなかった。


 考えあぐねて、たどり着いたのがサルだった。サルに赤いスーツを着せて木の間を飛び移らせて撮影、あとで合成することでプレデターに見せようとしたのだ。しかし、赤いスーツを着たサルは撮影が始まると、何処かへとに逃げ去ってしまった…。結局透明化したプレデターはCGで描くことになり、一部には体操選手に赤いスーツを着せて撮った映像に合成したものが使われることになった。



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