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『カプリコン・1』独創的なアイデアを映画として展開させる方法とは?

(C)Capricorn One Associates 1978

『カプリコン・1』独創的なアイデアを映画として展開させる方法とは?

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『ブリット』を更新するカー・アクション



 火星からの中継に疑問を抱いたのはNASA管制室勤務の若者である。個人的に司令船からの無線を傍受していたところ、本来ならばタイムラグがあるはずなのに、地上のそう遠くない距離から発信されていることを突き止める。上司に具申するが一笑に付され、なお追求しようとすると不意に姿を消してしまう。彼の友人で新聞記者のコールフィールド(エリオット・グールド)は、友人蒸発の謎を追いながら、宇宙飛行士の家族とのテレビ中継に違和感を覚えて謎に迫ろうとするが、様々な妨害を受ける。最初は車のブレーキが壊され、車が市街地を暴走する。



『カプリコン・1』(C)Capricorn One Associates 1978


 カー・アクションなどというものは、本作が製作された時点でも、既にやり尽くされた感があったが、監督のピーター・ハイアムズは、プロデューサーの反対を押し切って導入した。ハイアムズは、ある条件下のもとでは斬新なカー・アクションを作り出せるという勝算があった。それはビル・ヒックマンを招聘することだった。彼は『ブリット』(68)でスティーブ・マックイーンを狙う殺し屋役でも出演したスタントマンである。マックイーン曰く、「彼は世界一のスタントドライバー」(『スティーブ・マックイーン 男の真髄』での発言)。


 その期待に応えて、ヒックマンは『ブリット』を更新するカー・アクションを『カプリコン・1』で生み出している。ブレーキが壊れて市街地をめちゃくちゃに走り回る車のバンパー下にカメラを設置することを提案したのはヒックマンだが、この撮影方法によってローアングルで地面すれすれのポジションから撮ることで疾走感が増し、時速160キロで市街地を暴走する場面の迫力は、TVモニターで観ていてものけぞってしまう。ちなみに、ハイアムズ監督によると、ベトナム戦争に従軍していた帰りに日本に立ち寄った時、東京のタクシーの暴走ぶりは本作以上の恐怖を味わったという。



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