1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. シング・ストリート 未来へのうた
  4. 『シング・ストリート 未来へのうた』のジョン・カーニー監督が傑作『ザ・コミットメンツ』を意識した理由
『シング・ストリート 未来へのうた』のジョン・カーニー監督が傑作『ザ・コミットメンツ』を意識した理由

『シング・ストリート 未来へのうた』のジョン・カーニー監督が傑作『ザ・コミットメンツ』を意識した理由


『ザ・コミットメンツ』と監督アラン・パーカー



 まず、この映画の成り立ちから見ていこう。原作はダブリン出身の小説家ロディ・ドイルが1987年に発表した同名小説。ちなみにドイルは映画化に際し共同脚本にクレジットされている。小説の映画化権を獲得したプロデューサーたちが監督に選んだのが、英国人のアラン・パーカーだった。


 パーカーはアカデミー賞2部門受賞の『ミッドナイト・エクスプレス』をはじめ、『ミシシッピー・バーニング』『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』といった社会派ドラマで高く評価されるが、監督デビュー作のミュージカル映画『ダウンタウン物語』、舞台芸術専門の高校で成功を夢見る若者たちを描く『フェーム』など、音楽シーン演出の名手としても知られる。当サイト記事で斉藤博昭氏が紹介しているように、脚本担当として初めて映画製作に携わった『小さな恋のメロディ』では、第2班監督としても撮影現場に参加し、映像と音楽を融合させる才能の片鱗を示していた。


 パーカーとキャスティングディレクターはダブリンに足を運び、クラブやストリートで演奏するミュージシャンたちから『ザ・コミットメンツ』のキャストを探し、バンド形式でのオーディションも実施した(余談だが、これに応募するため4人兄妹が即席で結成したザ・コアーズが、のちにレコード会社と契約し、世界的に人気を博すバンドになった)。



※画像は『シング・ストリート 未来へのうた』


 映画はアイルランドだけでなく、英米からも出資を得て1991年に完成。そして「歴代最高のアイルランド映画」と呼ばれるまでの成功を収めた。しかし想像するに、これほどの高評価は、生粋のアイルランド人監督なら複雑な思いを抱くのではないか。たとえるなら、村上春樹の小説をベトナム出身のトラン・アン・ユンが映画化した『ノルウェイの森』や、遠藤周作の小説をマーティン・スコセッシが映画化した『沈黙 -サイレンス-』が、「歴代最高の日本映画」と称賛されるようなものだ。これらは確かに原作者と多くのキャストも日本人で、舞台も日本だが、現役の日本人監督なら正直「それはないだろう」と憤慨するのではないか。カーニーが、『ザ・コミットメンツ』に強いライバル意識を抱いたとしても不思議はない。



PAGES

この記事をシェア

公式SNSをフォロー

  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. シング・ストリート 未来へのうた
  4. 『シング・ストリート 未来へのうた』のジョン・カーニー監督が傑作『ザ・コミットメンツ』を意識した理由