2018.08.15
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バンド出身、ジョン・カーニー監督による音楽映画の集大成
1972年にアイルランドのダブリンで生まれ、ロックバンドThe FramesのベースとPV制作担当を経て映画監督に転身し、2007年の『ONCE ダブリンの街角で』の成功により世界的に知られるようになったジョン・カーニー。オリジナル脚本で音楽にこだわり続けてきたカーニー監督の集大成的な映画が『シング・ストリート 未来へのうた』(16)だ。
1996年のデビュー作『November Afternoon』以来、カーニーは8本の長編を監督しているが、単独で脚本も兼ねた作品は4本。そのうちの3本が『ONCE』、『はじまりのうた』(2013)、そして『シング・ストリート』なので、音楽映画を一途に追求している作家と言っていいだろう。
なお、『ONCE』で主演を務めたグレン・ハンサードは、かつてカーニーが在籍したThe Framesのフロントマンであり、『シング・ストリート』は監督がダブリンで過ごした少年時代を半ば自伝的に描いたものとされる。カーニーの音楽映画には彼自身の人生が投影されているのだ。