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『シング・ストリート 未来へのうた』監督ジョン・カーニーの溢れる音楽愛と80年代ロックの数々

『シング・ストリート 未来へのうた』監督ジョン・カーニーの溢れる音楽愛と80年代ロックの数々


80年代音楽の魅力をフレッシュに伝える



 舞台は1985年のダブリン。主人公のコナーはまだ何者でもない高校生だが、居間のテレビで観るMTVを通じて英米のロック音楽に憧れている。親の経済的事情で私立高校から無料の公立高校に転校させられるが、校門の向かいで物憂げにたたずむ大人びた美少女ラフィーナに声をかけ、無名のモデルだという彼女の気を引くため「僕のバンドのPVに出ないか?」と誘う。まだバンドを組んでもいないのに!


 自称「校内コンサルタント」のダーレンによる仲介とメンバー募集の貼り紙により、5人体制となった高校生バンドは、80年代ヒット曲のカバーから開始。だが、コナーは音楽に詳しい兄ブレンダンのアドバイスにより、オリジナル曲を作ることに。




 80年代に流行した名曲を参考にバンドのオリジナル曲を作る――このストーリー上の設定が、当時の音楽スタイルの魅力を伝えると同時に、主人公の内面を歌詞で伝えて観客の感情移入を促す仕掛けとしても、有効に機能している。いくつか例を挙げると、デュラン・デュランの『グラビアの美少女』や『リオ』から自作の『The Riddle of the Model』(モデルの謎)が生まれ、ホール&オーツがモータウンのリズムパターンをモダンにアレンジした『マンイーター』を手本に『Drive It Like You Stole It』(思い切りアクセルを踏め)ができた、といった具合。



 当時の音楽を単にBGMとして、あるいは劇中のテレビやレコードプレーヤーから流れる曲として使うだけなら、ノスタルジックな感興を喚起するにとどまったかもしれない。しかし、80年代音楽のエッセンスを継承しつつも、物語の展開に応じた主人公の心情が、オリジナルのサウンドに乗って歌われることで、懐かしいスタイルに新鮮でエモーショナルな魅力を加えることに成功しているのだ。



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