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『シング・ストリート 未来へのうた』監督ジョン・カーニーの溢れる音楽愛と80年代ロックの数々

『シング・ストリート 未来へのうた』監督ジョン・カーニーの溢れる音楽愛と80年代ロックの数々


英国に近くて遠いダブリンの「距離感」



 コナーが転校するという設定のSynge Street CBS(シング・ストリート・クリスチャン・ブラザーズ・スクール)は、ダブリンに実在する高校で、カーニー監督自身もここの卒業生だ。コナーは学校が面する通りの名称でもある「Synge」の綴りを「Sing」(歌う)に変えて、バンドをSing Streetと命名する(これが映画の原題にもなっている)。既存の名詞のスペルを少し変えて音楽的なニュアンスを含むバンド名を作るのは、「beetle」(甲虫)の3文字目をeに変えて、「beat」(ビート、拍子)を含むビートルズ(beatles)のバンド名が誕生したエピソードを彷彿とさせる。




 ダブリンの若者が成功を目指す場所として英国(とりわけロンドン)に憧れるというのは、『ONCE』から引き継がれた要素だが、本作ではダブリンと英国の微妙な距離感が効いている。ダブリンの港から、リバプールにほど近いウェールズ北部の港町ホリーヘッドまでは、フェリーで3~4時間だ。


 ただし、実際の距離と所要時間以上に、心理的な隔たりは大きく、現実の壁は高いのだろう。映画の中でも、ある者は海を渡る前に諦め、ある者は夢破れて舞い戻る。そうしたエピソードの積み重ねがあるからこそ、ラストの「旅立ち」がいっそう尊く、まばゆく輝くのだ。




文:高森郁哉(たかもり いくや)

フリーランスのライター、英日翻訳者。主にウェブ媒体で映画評やコラムの寄稿、ニュース記事の翻訳を行う。訳書に『「スター・ウォーズ」を科学する―徹底検証! フォースの正体から銀河間旅行まで』(マーク・ブレイク&ジョン・チェイス著、化学同人刊)ほか。



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作品情報を見る



『シング・ストリート 未来へのうた』

Blu-rayスタンダード・エディション

2017年2月2日発売

税抜:4,800円(税込:5,184)

発売元:ギャガ 販売元:ギャガ

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