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『シング・ストリート 未来へのうた』監督ジョン・カーニーの溢れる音楽愛と80年代ロックの数々

『シング・ストリート 未来へのうた』監督ジョン・カーニーの溢れる音楽愛と80年代ロックの数々


愛すべきキャラクターたち



 バンドメンバーの中では、ボーカルのコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と、あらゆる楽器を弾きこなすギター担当のエイモン(マーク・マッケンナ)の関係性が特にいい。コナーが書いた詞に、エイモンがギターでメロディーとコードをつけていく過程は、メンバーでオリジナル曲を共作する醍醐味を端的に示している。詩人肌の夢想家と才能豊かなソングライターという組み合わせは、ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーや、U2のボノとエッジといった名コンビを思わせもする。


 コナーのロックの師匠である兄ブレンダン(ジャック・レイナー)のキャラクターも味わい深い。「他人の曲で女を口説くな」などと、含蓄のある音楽格言を弟に伝授するのだが、「フィル・コリンズを聴く男に女は惚れない」といった偏った嗜好もうかがわせる。プログレッシブロックを牽引したジェネシスのメンバーからポップ志向のソロアーティストに転じたフィル・コリンズに対する、カーニー監督なりの論評が込められているのだろうか。




 なお、兄役のレイナーを含め、コナーの家族役には実績のある俳優たちを起用したのに対し、主人公のコナー役をはじめバンドの各メンバーには無名の新人がキャスティングされた。バンド活動と恋愛を通じて成長していくコナーとメンバーのキャラクターについては素朴な魅力と自然な変化をカメラに収め、問題や悩みをそれぞれ抱える家族は繊細な演技で表現して映画の土台を支えるという、若手の新人とキャリアを積んだ役者の配置の妙も効いている。



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