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『ザ・コミットメンツ』バンド映画最大の魅力「ホロ苦さ」を体現した出演者たち

『ザ・コミットメンツ』バンド映画最大の魅力「ホロ苦さ」を体現した出演者たち

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輝きを失わないバンド映画の金字塔



 映画のジャンルを細分化すると、そこに「バンド映画」というジャンルが存在すると思う。映画と相性がいい「音楽」がキーポイントになり、個性豊かなメンバーの集結、自我のぶつかり合い、成功と挫折、そしてライブシーンの盛り上がりと、バンド映画は作品を面白くする要素の宝庫でもある。ゆえに傑作も多いわけだが、『 リンダ リンダ リンダ』『 味園ユニバース』といったバンド映画を撮った山下敦弘監督をして、自作のインスピレーションとなったと言わしめた作品が『ザ・コミットメンツ』。バンド映画の金字塔と呼んでもいい傑作である。


 アイルランドのダブリンで、本物のソウルミュージックを演奏するバンドを結成しようと決めたジミーらは、メンバー募集の広告を出す。さまざまな個性が集まり、バンド「ザ・コミットメンツ」が結成される物語。バンドのマネージャー役となったジミーにとって、夢をかなえるチャレンジであったのと同時に、最終的にバンドの運命はホロ苦い青春の1ページとなる。この「ホロ苦さ」が今作をバンド映画の傑作に押し上げた要因のひとつではないだろうか。


 クライマックスでジミーは鏡に向かって自問自答(記者にインタビューを受けているという設定)しながら、プロコル・ハイムの名曲「青い影」の歌詞に引っ掛けてこんなセリフを放つ。



「ジミー、バンドでいちばん学んだことは?」


「難しい質問だな。ファンダンゴに乗せてクルリと回転し、めまいを覚える。でも観客はもっと要求する」


「ジミー、どういう意味なんだい?」


「わからねぇ、ってことだよ」


 混迷を極めたバンドの日々を総括し、ジミーに残ったのは「わからない」という真実だった。しかし明らかに、本能的に人生の教訓を学んだ達成感も漂っていた。挫折や失敗から、言葉では表現できない何かを学ぶこと。まさに青春バンド映画の醍醐味が、このセリフに詰まっている。



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