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若きスティーヴン・モリッシーを描いた『イングランド・イズ・マイン』は、何故あなたの心に響くのか?

(c)2017 ESSOLDO PICTURES LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

若きスティーヴン・モリッシーを描いた『イングランド・イズ・マイン』は、何故あなたの心に響くのか?

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※2019年6月記事掲載時の情報です。


『イングランド・イズ・マイン』あらすじ

1976年マンチェスター。学校をドロップアウトしたスティーヴン・モリッシーは、ライブに通っては批評を音楽紙に投稿するだけの毎日。家計を助けようと就職しても職場に馴染めず、仕事をサボって詩を書くのが唯一の慰めだった。そんな時、美大生のリンダーと出会い、彼女の後押しもあってバンドを組むことになる。初ライブは成功、スティーヴンはミュージシャンになろうと仕事を辞める。しかし順調に思えた彼を待ち受けていたのは、別れや挫折だった。1982年、それでもあきらめずに音楽を続けるスティーヴンの元に1人のギタリストが訪ねてくる。それは、のちに彼と「ザ・スミス」を結成するジョニー・マーだった。


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じれったい若きスティーヴン・モリッシー



 イギリス、マンチェスターが生んだカリスマ的なバンド、ザ・スミスのフロントマンで、バンド解散後も息の長いソロ活動を続けているアーティスト、モリッシー。その若き日をモデルにした青春映画『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』が劇場公開され、好評を博している。ネット上の感想を見ると、絶賛する人もいれば、つまらないという声も聞こえてくるが、どちらの声もよくわかる。


 なにしろ、本作の主人公スティーヴン君はじれったい。職場で同僚と目を合わせることはほとんどない。音楽で身を立てたいのに、自分からは動こうとせず、女友達に尻を叩かれて、やっと重い腰を上げる。ノートやタイプライターに向かえば雄弁だが、人前では口ごもる。極度の恥ずかしがり屋。他人にうまく心を開けないが、認めてもらいたい欲求は人一倍強い。そんな性格のじれったさに、見ていて疲れてしまう人がいたとしても不思議ではない。



『イングランド・イズ・マイン』 (c)2017 ESSOLDO PICTURES LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.


 一方で、響く、刺さる観客も少なくないのは、スティーヴンに自分の姿や若い頃の思い出を重ねられるからだ。そもそもザ・スミスのファンベースは、ベッドルームにこもっていた内向的なティーンだ。モリッシーの詞には孤独や絶望、断絶、疎外感といったテーマが宿っており、それはそのまま本作のスティーヴンの気持ちに当てはまる。


 スミスのファンならずとも、内省の孤独を知る者ならば、この映画にハマるというもの。本稿ではその魅力をより味わい深くしているエッセンスについて触れてみようと思う。本サイト掲載のマーク・ギル監督のインタビュー記事と併せて読んでいただければ幸いである。



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