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若きスティーヴン・モリッシーを描いた『イングランド・イズ・マイン』は、何故あなたの心に響くのか?

若きスティーヴン・モリッシーを描いた『イングランド・イズ・マイン』は、何故あなたの心に響くのか?


外に出られず、部屋に、脳内に閉じこもったままの若き日々



 まずは冒頭、”人生――退屈ゆえに避けるに値するもの……”という主人公スティーヴンのモノローグが重なる運河の濁流のイメージ。これはギル監督によると「溺れている男の象徴。スティーヴンの脳内を表わしている」とのこと。溺れる彼は藁をもつかむ気持ちで、音楽や文学にしがみつき、また誰か救い出してくれる人にすがろうとしている、というわけだ。


 また、そこに重なるモノローグは、若き日のモリッシーが文通相手に送った手紙をヒントにして、ギル監督と共同脚本のウィリアム・タッカーが作り出したもので、スティーヴンの厭世感がよく表れていた。この場面は後半でも繰り返される。




 憂鬱な空気は風景にもよく表れている。劇場用パンフレットのレビューにも書かせてもらったが、マンチェスターのストレットフォードでロケを敢行した本作には、白昼の屋外シーンは数えるほどしかない。屋外の多くのシーンは夜で、そしてそれ以上に屋内のシーンが多い。それについて監督に尋ねると、「この映画は主人公が鬱々と考えている物語だから、外に出られず、脳内に閉じこめられている、というような閉塞感を出したかった」という答えが返ってきた。


 そういう意味ではイギリス北部の街を舞台にした庶民的な作品――例えば英国青春映画の古典でモリッシーも大好きな『蜜の味』(61)――につきものの、レンガ造りの古い家が立ち並ぶ住宅地の風景も見ることはできない。監督によると、「ストレットフォードには、そういう古い街並みが、もうあまり残っていない」とのこと。



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