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まるで舞踏団のように息の合った家族は、いかに生み出されたか?『リトル・ミス・サンシャイン』

まるで舞踏団のように息の合った家族は、いかに生み出されたか?『リトル・ミス・サンシャイン』


長期にわたる製作の遅れを“強み”に変える



 何らかの歯車がひとたびガッチリと噛み合うと、悪条件さえもが好材料に転じることがある。本作の場合、なかなか製作資金が集まらずキャストやスタッフをやきもきさせたものの、その長きにわたる「待機状態」がかえって企画を熟成させていったようだ。


 例えばデイトン&ファリスは、自分たちの映画監督としての経験不足を少しでも補おうと、ギリギリまで努力を惜しまなかった。自らの夫婦としての視点、あるいは子供達を抱えた親としての視点を脚本に盛り込んで物語を立体化し、さらには(キャストとは別の)俳優達を雇ってワークショップを開催し、各シーンをどのように具現化すべきか、演技として成立させるにはどう演出すべきか、などといったシミュレーションを入念に行ったという。


 また、この映画が目指すべきテイストやニュアンスをキャスト陣としっかりと共有することも怠らなかった。とりわけ重要だったのは「コメディでありながらも、意図的な笑いは要らない」という点だ。無理して目立とうとする必要はない。求められるのはアンサンブル。互いの掛け合いが如何に”家族”ならではの空気を生み出し、それが観客の共感へと繋がるかに、主眼が置かれたのだ。




 その後、いざ待ちに待った資金繰りが完了しゴーサインが出されると、今度はこれまでの遅れを取り戻すかのように急ピッチで製作が進められていった。リハーサルはたった一週間。だが、脚本の読み合わせなどを簡単に済ませると、あとはむしろこの6人にしか織りなせない関係性を築いていくことに、力が注がれたという。おそらく最初からあまりガッチリとは作りこまず、むしろ自由に遊べる余地を残したまま、映画のストーリーに準じて自ずと化学変化が起こっていく状態を模索したのだろう。


 また、本作のもう一つのこだわりは、脚本の流れに沿った「順撮り」ということ。その効果もあって、最初は赤の他人同士だったキャストも、黄色いミニバスの狭い車内で濃密な時間を過ごすうちに、すっかり息のあった“舞踏団“のごとき家族へと変貌していった。



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