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『マイノリティ・リポート』映画のためにシンクタンクを設立!?スピルバーグが本気で取り組んだ未来描写

(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『マイノリティ・リポート』映画のためにシンクタンクを設立!?スピルバーグが本気で取り組んだ未来描写

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シンクタンクのアドバイスによる未来社会のディテール



 スピルバーグは、2054年の未来世界を描くに当たって、徹底したリアリティを追求することにした。そこでまずストーリーの根幹である、未来に起こる犯罪を予知できる“プリコグ”の存在と、彼らの脳内イメージをどうやって視覚化するのかについて、理論的な根拠を求める。


 このやっかいな作業を引き受けたのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)センター・フォー・ビッツ・アンド・アトムズ兼、MITメディアラボニール・ガーシェンフェルドと、ミルクシェイク・メディア社のキャサリン・ジョーンズである。ガーシェンフェルドは、未来予知に関して量子もつれ効果を用いた理屈付けを行い、メディカル・イラストレーターの経験を持つキャサリンは、放射線学やバクテリアの繁殖をモデルとする、モニターグラフィックスをデザインした。


 さらにスピルバーグは、16人のフューチャリストから構成されるシンクタンクを結成。99年4月に彼らをサンタモニカのホテルに集め、スピルバーグとスコット・フランク、アレックス・マクドウェルらも加わって、3日間のブレーンストーミングを行なっている。


 このシンクタンクのメンバーは、ガーシェンフェルドの他にビル・ゲイツ、「ジェネレーションX~加速された文化のための物語たち~」の著者ダグラス・クープランド、VRの提唱者ジャロン・ラニアー、都市計画家ピーター・カルソープ、MIT建築学・メディア人文科学教授のウィリアム・ミッチェル、「全地球カタログ」や「メディアラボ‐『メディアの未来』を創造する超・頭脳集団の挑戦」の著者スチュワート・ブランド、MITメディアラボのジョン・アンダーコフラーらの他、国防総省、玩具メーカー、発明家、環境問題、犯罪防止、医療、社会学の専門家などから構成されていた。



『マイノリティ・リポート』(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 


 彼らはここで、未来の都市、交通システム、ライフスタイル、コンピューターインターフェースなどの様子を話し合った。具体的には、完成した作品に登場するシック・スティック(嘔吐棒)やソニックブラスト銃といった非致死性兵器、VRで快楽を提供するサイバーパーラー、プリコグの殺人予告を告げる木製(年輪のパターンによって複製が不可能)のボール、音声認識で操作する家電など、多岐に渡っている。


 だがトムが主演した『M:I-2』(00)の撮影が遅れ、彼のスケジュールが合わなくなってしまう。またスピルバーグも、スタンリー・キューブリックが次回作として予定していた『A.I.』(01)を、監督として引き継ぐ決定がなされ、『マイノリティ・リポート』の撮影開始は3年も遅れた。



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