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『マイノリティ・リポート』映画のためにシンクタンクを設立!?スピルバーグが本気で取り組んだ未来描写

(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『マイノリティ・リポート』映画のためにシンクタンクを設立!?スピルバーグが本気で取り組んだ未来描写

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撮影・現像テクニックを駆使した画面作り



 スピルバーグはこの作品に、フィルムノワール調の渋い色彩や荒い粒子を求めた。そこで撮影監督のヤヌス・カミンスキーは、フィルムとして通常用いるEastman EXR 200T 5293以外に、高感度(感度が高い方が粒子が荒くなる)のKodak Vision 500T 5279やVision 800T 5289、及びフジフイルムのSuper-F 500T 8572を採用した。メインでVFXを担当したILMも、カミンスキーの画質に合わせるため、合成素材の撮影にVision 500T 5279を使用している。


 さらに、ラボ処理においても銀残し現像(ブリーチバイパス)を用い、さらに粒子が荒く、彩度の低い画面作りを試みている。加えて、各種フィルターワークや青を強調した照明を行うことで、冷たい色調のルックを実現させた。だが、劇中で重要な役割を果たすレクサスのボディや、モニター画面などの赤系の色は微妙な調整が必要となった。



『マイノリティ・リポート』(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 


 他にもカミンスキーは、工業用ロボットアーム(*2)に35mmシネマカメラのArriflexを取り付け、秒120フレームで撮影できる仕組みを構築した。これは被写体に対し、カメラマンでは不可能な速度でアングルや距離を変えながら撮影するためである。こうして撮られた映像は、“プリコグ”の1人であるアガサ(サマンサ・モートン)が見た“プリビジョン”(予知映像)の表現に用いられている。


*2 これは元々、レクサスの工場の撮影用にレンタルされた、カワサキ・ロボティックスUSA製の12台の内の1台だった。




文:大口孝之 (おおぐち たかゆき)

1982年に日本初のCGプロダクションJCGLのディレクター。EXPO'90富士通パビリオンのIMAXドーム3D映像『ユニバース2~太陽の響~』のヘッドデザイナーなどを経てフリーの映像クリエーター。NHKスペシャル『生命・40億年はるかな旅』(94)でエミー賞受賞。最近作はNHK Eテレ『コングラ CGの教室』(18)の監修。VFX、CG、3D映画、アートアニメ、展示映像などを専門とする映像ジャーナリストでもあり、映画雑誌、劇場パンフ、WEBなどに多数寄稿。デジタルハリウッド大学客員教授の他、東京藝大大学院アニメーション専攻、日藝映画学科、日本電子専門学校などで非常勤講師。



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『マイノリティ・リポート』

ブルーレイ発売中 ¥1,905+税  

公式サイト:http://www.foxjapan.com/minority-report

(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 

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