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『マイノリティ・リポート』映画のためにシンクタンクを設立!?スピルバーグが本気で取り組んだ未来描写

(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『マイノリティ・リポート』映画のためにシンクタンクを設立!?スピルバーグが本気で取り組んだ未来描写

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『マイノリティ・リポート』あらすじ

西暦2054年、ワシントンDC。政府は膨大な凶悪犯罪を防ぐ策として、ある画期的な方法を開発し、大きな成果をあげていた。それは、予知能力者を利用して凶悪犯罪が起こる前に犯人を逮捕してしまうというシステムであった。このシステムのお陰でワシントンDCの犯罪件数は激減、将来的にはアメリカ全土で採用されるべく準備が整えられていた。そんなある日、このシステムを管理する犯罪予防局のチーフ、ジョン・アンダートンが“36時間後に見ず知らずの他人を殺害する”と予知され、告発されてしまう。追う立場が一転して追われる立場になったジョンは、自らの容疑を晴らそうと奔走するのだが、彼は既に大きな陰謀に巻き込まれていたのだった……。


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幻の企画だったディック原作のSF



 この『マイノリティ・リポート』は、『ブレードランナー』(82)や『トータル・リコール』(90)、『スクリーマーズ』(95)、『クローン』(01)、『ペイチェック 消された記憶』(03)、『スキャナー・ダークリー』(06)、『NEXT-ネクスト-』(07)、『アジャストメント』(11)、『トータル・リコール』(12)などと同じく、フィリップ・K・ディックの短編が原作の、SF作品である。ディック作品に共通する“自己の喪失”“立場の逆転”“権力組織からの逃亡”といった要素を、この映画も色濃く持っている。


 元々90年版『トータル・リコール』の続編として93年に企画され、同作の脚本家だったロナルド・シャセットとゲイリー・ゴールドマンによってシナリオ化された。だが企画したカロルコ社が倒産し、プロジェクトはお蔵入りとなる。その後、『トータル・リコール』とは独立した作品として企画が進み、監督としてヤン・デ・ボンが予定され、ジョン・オーガスト、ジョン・コーエン、フランク・ダラボンらによって、リライトが繰り返されるが、実現には至らなかった。


 やがてトム・クルーズが、『アイズ ワイド シャット』(99)の撮影中にコーエン版のシナリオを読み、スピルバーグに送ったことで、具体的に制作がスタートする。スピルバーグは、脚本家のスコット・フランクに依頼して、原作小説から新しくシナリオを起こし、ファンタジー色を抑えた最終稿が書かれた。



『マイノリティ・リポート』(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 


 同時にスピルバーグは、プロダクションデザイナーのアレックス・マクドウェルに、この映画の世界観を具体的にイメージ化するように依頼した。マクドウェルは98年という早い段階から、ピクセル・リバレーション・フロント社と共にプリビズの作成を開始している。またVFXのスタジオとしてILMと、97年からドリームワークス傘下になったパシフィック・データ・イメージ(PDI)社(*1)が選ばれ、準備段階のCGの制作を始めている。



*1 PDIは、80年にパロアルトに設立された、非常に長い歴史を持ったCGスタジオである。00年にはドリームワークスに完全売却され、スタジオ名がPDI/ドリームワークスに改められた。当初は映画のVFXやCMの仕事も継続していたが、『シュレック』シリーズのヒットに伴って、劇場用フルCGアニメ専用スタジオになった。しかし、ドリームワークス・アニメーション社が経営不振に陥り、15年にPDI/ドリームワークス・スタジオは閉鎖となった。現在は、グレンデールのドリームワークス・アニメーション・スタジオと、中国との合弁企業であるオリエンタル・ドリームワークスでCG制作が行われている。



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