(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
『マイノリティ・リポート』SF映画の世界が現実に!?フューチャリストの活躍と現実世界への反映
2018.11.13
交通機関マグ=レヴの描写
他にもこのシンクタンクによるアイデアは、映画の随所に採用されている。たとえば、 マグ=レヴ(マグネティック・レヴィテーション)と呼ばれる交通機関は、都市内移動(アーバン・モビリティ)を研究していたウィリアム・ミッチェルのアイデアがベースになったと思われる。マグ=レヴとは、日本式に言えばリニアモーターカーのことであり、本作では磁気浮上によって水平方向だけでなく、ビルの壁面を垂直方向にも移動できる、自動運転のパーソナル交通機関として描かれている。
車両のデザインは、『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』(97)、『アルマゲドン』(98)、『トリプルX』(02)、『バットマン ビギンズ』(05)、『アイアンマン』(08)、『アイアンマン2』(10)、『トロン: レガシー』(10)、『トータル・リコール』(12)などを担当した、映画用ビークル・デザイナーの ハロルド・ベルカーが手掛けた。撮影用車両は、プラクティカル・エフェクト担当のマイケル・ランティエリの指導の元、デザイン会社のCTEKが制作している。
『マイノリティ・リポート』(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
このマグ=レヴの上を、トム・クルーズ演じるアンダートンが飛び移りながら逃亡するシーンでは、まずピクセル・リバレーション・フロント社がプリビズを作り、それに基いてトム・クルーズの演技をブルーバック撮影する。撮影は20世紀フォックスのスタジオに、ランティエリがマグ=レヴを1台だけ用意した。このマグ=レヴも、油圧モーションベースによって傾きと9mの上下動が可能になっている。しかし、どうしてもプリビズと同じ動きが撮影できなかったため、ILMが自社ソフトZepoで画像処理し、位置や形状を修正していった。ヴァージニア州ロズリンのビル群は、ユニット化されたCGのパーツをいくつか用意し、それを組み合わせてバリエーションを作る手法が選ばれている。個々のマグ=レヴには乗員の姿が見えるが、これはILMスタッフが扮してグリーンバック合成されたものである。