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新鮮さと老練さを併せ持つ『ヘレディタリー/継承』の計算された作品構造とは

新鮮さと老練さを併せ持つ『ヘレディタリー/継承』の計算された作品構造とは


成功の秘密は分析と計算にある



 また、悪魔祓いを描く、オカルトホラーの名作『エクソシスト』(1973)からの引用もある。オカルトホラーというのは、超自然的な現象から生まれる恐怖や、宗教に根差した恐怖を描くジャンルである。異端的な信仰を恐怖の対象とする『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)などのロマン・ポランスキー作品や、『ウィッカーマン』(1973)には、カルト集団の異様さを恐怖の対象としていた。


 これまでにあらゆるジャンルがひねり尽くされてきたといえる、ホラー映画。そこで新鮮なものを描くことは困難になりつつある。そこでジャンル自体を分析して総括するような、『スクリーム』(1996)、『キャビン』(2012)のような種類の作品が出てきた。しかしこれらは作品の性質上、どうしてもコメディとしての意味を持たざるを得なかった。本作は、ストーリーが陳腐化してしまうことのないよう、それらシーンを一本につなぐように周到に気を遣った脚本を練り上げ、同時にこのような分析、分類によって、ホラー映画における「恐怖」をうまく抽出しているのである。




 様々な作品の持つ力を借りながら、ジャンルに縛られない恐怖を次々に感じさせていく。これが『ヘレディタリー/継承』に老練さと新鮮さを同時に感じる理由である。そしてこの構造を悟らせないようにする綿密な計算を働かせたことによって、観客を心の底から怖がらせる傑作となりえたのである。



文:小野寺系

映画仙人を目指し、さすらいながらWEBメディアや雑誌などで執筆する映画評論家。いろいろな角度から、映画の“深い”内容を分かりやすく伝えていきます。 

Twitter:@kmovie



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作品情報を見る



『へレディタリー/継承』

11月30日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー。

© 2018 Hereditary Film Productions, LLC

公式サイト: http://hereditary-movie.jp/

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