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『ヒューゴの不思議な発明』 オートマトン(自動人形)の謎と幸福なフィナーレ

『ヒューゴの不思議な発明』 オートマトン(自動人形)の謎と幸福なフィナーレ


甦ったメリエスのフィルム



 映画のフィナーレでは、大学で映画史を研究するルネ・タバール教授(マイケル・スタールバーグ)が、各地から探し出したフィルムで「メリエス映画祭」を開催する場面が繰り広げられる。このタバールは架空のキャラクターだが、これも複数の実在した人物が合成されたものだった。


 1人は映画史家のジョルジュ=ミシェル・コワサックで、彼は1925年に出版した『 Histoire du cinematographe de ses origines a nos jours (映画の起源から今日までの歴史)』の中で、メリエスに献辞を捧げている。また彼の他にも、レオン・ドゥルオー、ルイ・オーベール、モーリス・ノヴェール、ルネ・ジャンヌ、ポール・ジルソン、ルネ・トゥマゾー、モーリス・ベッツ、クロード・ファヤールといった映画関係者やジャーナリストたちが、メリエスを称える活動を行っている。


 もう1人は、前衛映画専門の劇場を経営するジャン・モークレーヌだ。ある時、彼が乗っていた自動車が、ノルマンディーの小さな村で故障してしまった。その時に対応してくれた修理工が、車内にあったフィルム缶を見つけ、同じものが城の酪農工場に大量にあると教えてくれた。その城の持ち主は家具商だったが、かつては自分の店内に映画館を作るほどのメリエス・ファンだったのである。実際に行ってみると、フィルムの多くは朽ち果てていたが、まだ上映可能なメリエス作品が8缶あった。モークレーヌはここから新しいプリントを焼き、かつてメリエス作品の手彩色工場を担当していたエリザベート・チュイリエを探し出して、彼女の指導で着色版の復元を試みる。



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 こうしてモークレーヌは、1929年にパリの サル・プレイエルにおいて、「ガラ・メリエス」を開催した。演目は『月世界旅行』の他、『気ままな幻想』(1909)、『さまよえるユダヤ人』(1905)、『悪魔の悪戯』(1906)、『悪魔の下宿人』(1909)、『魔法の蝶』(1909)、『ミュンヒハウゼン男爵の幻覚』(1911)、『極地征服』(1912)だったそうである。


 劇中の「メリエス映画祭」で上映されるフィルム(*9)は、 レジェンド3D社が2D/3D変換したものが使用された。同社は、ネイティブ3D方式で撮影された劇場や人物と、2D/3D変換したスクリーン内映像を、巧みに組み合わせている。特にベン・キングズレーが、本物のメリエスに切り替わる瞬間は見事である。


*9 ただし『月世界旅行』は、長いこと着色版の存在が行方不明だった。だが1993年になり、バルセロナのシネマテークに匿名の人物からこのフィルムが寄贈された。キュレーターのアントン・ヒメネスは、2001年に映画修復会社である 仏ロブスター・フィルムズのエリック・ランゲに接触し、セグンド・デ・チョーモンのコレクションと交換を条件に譲渡する。だが簡単に修復できないほど劣化が進んでおり、バラバラになったフィルムの断片をデジタル化するものの、8年間ほどそのままだった。ようやく2010年になって、グルパマ・ガン財団とテクニカラー財団が資金を提供し、最新のレストレーション技術を用いて2011年に 復元作業が完了した。『ヒューゴ…』では、この復元版を基にして2D/3D変換が行われている。



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