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憂いを含んだロビン・ウィリアムズの瞳。『いまを生きる』に映し出されるもの

憂いを含んだロビン・ウィリアムズの瞳。『いまを生きる』に映し出されるもの


" ロビン・キーティング"の登場



 これほど、ストーリーと演じた俳優たちの成長のプロセスが綿密にリンクした映画がかつてあっただろうかと思う。その中心に居たのは、言うまでもなく、生徒たちに発想の転換を促し、思い半ばで学園を去ることになる革新的で魅力的な教師、ジョン・キーティングを演じたロビン・ウィリアムズだ。


 撮影が始まるや否や、得意のジョークを連発して周囲を和ませかと思うと、本番では一転、シリアスな演技に集中し、勢いで全台詞の実に15%をアドリブでカバーするロビンを、監督のウィアーは"ロビン・キーティング"と呼んで受け容れたという。練り上げられた脚本を無視して暴走する主演俳優というのは、監督にとって決して扱い易い存在ではなかったはずだ。だが、集中力の高まりに伴い演技に熱が帯びていくロビンの凄まじいパワーに、ウィアーは脱帽するしかなかった。




 俳優デビューする前のロビンは、ニューヨークの名門ジュリアード・スクールに、奨学生として入学を許されたエリート20人中の1人だった。同級生には、ケヴィン・クライン、ウィリアム・ハート、マンディ・パティンキン、そして、生涯交流を深めることになるクリストファー・リーヴ等、錚々たる顔ぶれがいた。そのジュリアードで、ロビンはすべての俳優たちにとっての演技のバイブルである、スタニスラフスキー理論(外面的に誇張した演技を排し、内面の表現を重視する演技理論)をマスターした上で、いつも映画の現場に臨んでいた。従って、『いまを生きる』から悲願のアカデミー助演賞受賞作『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)に至る彼のシリアス路線を、単にコメディアンのイメチェン作戦と捉えるのは間違っている。それは役柄の心理を技術で体現した、理論に裏打ちされた演技派俳優の仕事だったのだから。



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