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『フェーム』音楽の力で夢と現実から多様性までも描いた、永遠の輝きを放つ

『フェーム』音楽の力で夢と現実から多様性までも描いた、永遠の輝きを放つ

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映画からTVシリーズとなって人気を拡大させた異色の例



 大人たちのキャストにもこだわりが見られ、音楽の教師を演じたアルバート・ヘイグは、トニー賞も受賞するほどの名作曲家で、実際にPAで教壇に立っていた人である。また映画『フェーム』での登場シーンはわずかだが、ダンス教師役のデビー・アレンは、後にアカデミー賞授賞式の振付も担当したほどの才能であり、そのデビー・アレンが活躍するのが、TV版の「フェーム」である。映画の人気によってTVシリーズが作られるというのは、当時としては異例で、しかもTVシリーズの「フェーム」は、1982年から87年まで計6シーズン放映という人気を誇った。


 日本でも「フェーム/青春の旅立ち」というタイトルで1984年から放映され、深夜枠で何度か再放送もされたので、記憶に残っている人もいるだろう。このTV版は意外なほど世界中で人気で、出演者によるコンサートツアーも行われたほどだ。映画とは別のオリジナル曲も作られ、こちらも掘り出し物的な名曲が多い。


 ダンス教師役のデビー・アレンだけでなく、映画版から続けて出演したキャストもいる。前述の音楽教師役アルバート・ヘイグや、学生ではリロイ役のジーン・アンソニー・レイ、ブルーノ役のリー・キュレーリらが顔を揃え、映画版からの流れを作った。TV版には、シンシア・ギブ,ロリ・シンガーなど、映画版よりも知名度の高いキャストもいるし、2エピソードのみだが、若き日のドン・チードルの姿も発見できる。ちなみにマドンナは、このTV版のオーディションも受けたが、出演には至らなかった。


 その後、「フェーム」は、1995年にロンドンのウエストエンドでミュージカル化され、2009年には『Fame フェーム』としてリメイク版も公開された(デビー・アレンも出演)。俳優やダンサー、ミュージシャンというアートの分野で、才能が見出され、キャリアを成功させるのは、選ばれたわずかな者のみである。でも、だからこそ、わずかな夢を求めて一瞬の輝きを放とうとする姿は、切ないまでに美しく愛おしい。


 こうしたストーリーは他の多くの作品でも描かれてきたが、一瞬の輝きという点で『フェーム』を超えるものはないと断言したい。さらに言えば、1980年の作品にもかかわらず、人種やセクシュアリティへの向き合い方が、いま観ても古くささを感じさせない。時を超えてアピールするパワーが宿った作品である。



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。 



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『フェーム』

ブルーレイ ¥2,381+税/DVD特別版 ¥1,429 +税

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(c) 1980 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

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