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『フェーム』音楽の力で夢と現実から多様性までも描いた、永遠の輝きを放つ

(c) 1980 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『フェーム』音楽の力で夢と現実から多様性までも描いた、永遠の輝きを放つ

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現実では「フェーム」をつかめなかったホロ苦さ



 タイトル曲の「フェーム」を歌ったアイリーン・キャラを筆頭に、キャストたちには注目が集まるが、その後、スターへの階段を上った者はいない。モンゴメリー役のポール・マクレーンが脇役俳優(『ショーシャンクの空に』の卑劣な看守役、「ER 緊急救命室」のロバート・ロマノ医師役など)で地道にキャリアを積んだが、他のキャストは、この『フェーム』以外に、これといった代表作はない。黒人のリロイ役、ジーン・アンソニー・レイは、エイズのため41歳で亡くなっている。


 しかし改めて作品を観ても、キャストたちの瑞々しい演技は実感できる。冒頭に書いた、路上で学生たちが踊るシーンは、撮影時、まだ楽曲(「フェーム」)が完成していなかった。撮影には、制作中の曲と同じテンポの、ドナ・サマーの「ホット・スタッフ」が流されたという。別の曲にもかかわらず、映像に焼きつけられたあの躍動感には恐れ入る。また、ランチの食堂で学生たちが即興のセッションで盛り上がる「ホット・ランチ・ジャム」は、作曲のマイケル・ゴアが作ったわずか16小節のメロディを基本に、出演者を録音スタジオで即興で演奏させて曲が完成された。まさに映画の状況そのものなのである。



『フェーム』(c) 1980 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.


 こうした革新的なスタイルの音楽は、『フェーム』にアカデミー賞で作曲賞と主題歌賞をもたらした。主題歌賞に2曲が同時にノミネートされたのも、アカデミー史上で『フェーム』が初めてである。


 映画『フェーム』で有名なのは『ロッキー・ホラー・ショー』のシーンだろう。その後、日本でもちょっとしたブームとなった、映画に合わせて観客がコスプレなどで楽しむスタイルは、この『フェーム』によって広く知られるようになった。NYの「8丁目プレイハウス」で金曜と土曜の夜に行われ、12年間もロングランした『ロッキー・ホラー・ショー』の上映風景を再現するために、アラン・パーカーは「常連」の観客たちに声をかけ、撮影に参加してもらった。その中には「ロッキー・ホラー・ショー・ファンクラブ」の会長もいたという。



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