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20世紀屈指の感動作『タイタニック』のスペクタクルを生んだ前例なき挑戦

(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

20世紀屈指の感動作『タイタニック』のスペクタクルを生んだ前例なき挑戦


最新技術と創意工夫で実現したスペクタクル



 一方、沈没の終盤で船尾が直立するシークエンスのセットは別途作られた。巨大なヒンジと水圧装置によって、デッキを1度から90度まで傾けられるよう設計されていた。最後部の手すりにつかまった俳優たちの高さは地上30m以上にもなるため、撮影には工事用クレーンも投入され、クレーン先端のケージにキャメロンも乗り込んで指揮した。


 船体が真っ二つに折れてからいったん水平に戻った船尾が、水没する前半分の船体に引っ張られて一気に傾き、垂直に立ち上がってから一気に沈んでいく――アクションを得意とするキャメロンらしい、本作で最高のスペクタクルだ。この撮影では、男女100人ものスタントマンがスタントコーディ―ネーターと綿密に打ち合わせ、甲板の角度が増すにしたがい次々に滑り落ちていくスタントを繰り返した。キャメロン自身もカメラを持って一緒に滑り落ち、落ちていくスタントマンたちの演技を間近で撮影している。



(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 


 キャメロンは安全面に十分配慮していたが、それでもスタントマン2人が骨折する事故が発生。そこで、本作の視覚効果を担当するデジタル・ドメイン(キャメロンが『トゥルーライズ』の製作前に立ち上げた視覚効果会社)に、急勾配の船尾から落下する乗客たちを、モーション・キャプチャーを使ってCGで描画することを依頼する。モーション・キャプチャーは当時まだ萌芽期にあり、モーション・キャプチャーを使ったCGで普通の人間を描くのは『タイタニック』が初めてだった。


 具体的には、背景から緩衝マットまでグリーン一色のセットで、ボディースーツにマーカーを付けたスタントマンが高所から落下し、その動きを専用のカメラで撮影してデータに変換。これを基に“デジタル・スタントマン”を作成し、顔や服もCGで描画して、実写映像にポストプロダクションで合成するという手順だ。そうしたポスプロでの作業に備え、実写パートの撮影の際には、船尾の手すりからトイレットペーパーのロールが落とされた。この落下するロールの軌跡を上書きするように、デジタル・スタントマンを合成することで、加速しながら数十mを落下する乗客をよりリアルに描くことができた。


 キャメロンは課題に直面するたび、解決策を編み出し、理想の映像を追求していった。だが妥協のないその姿勢によって、製作費はさらに膨らみ、製作スケジュールも遅れていく。公開日は当初の1997年7月から同年12月19日に延期され、製作費はついに2億ドルに達した。1994年の『トゥルーライズ』が製作費1億ドル超えでギネスに載ったのに、それからわずか3年で倍の予算をつぎ込むことになったのだ。



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