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真実は隠蔽されている!『トゥルーマン・ショー』と、たくらみに満ちた世界

(C) 1998 2015 by Paramount Pictures.

真実は隠蔽されている!『トゥルーマン・ショー』と、たくらみに満ちた世界


陰謀論を好むアメリカ



 陰謀論は実にアメリカらしい現象である。『ファンタジーランド』(東洋経済新報社)の著者カート・アンダーセンは「どんなことにも意味と目的を見つけたがるプロテスタントの衝動と、啓蒙主義の経験論が混ざり合うと、あらゆる点と点を結びつけたがるアメリカ人の熱狂や、合理主義を装った非合理性が生まれる」*2と述べている。ケネディ暗殺、エリア51、アポロ計画(実は月に到達していない!?)等々……。「数多くの陰謀論を渡り歩いてきた」と語る地球平面説者が、『トゥルーマン・ショー』を愛好するのも理解できる。


 むろん陰謀論はアメリカに限った現象ではないが、アメリカほどそれが多数の人びとに信じられた国はない。ゆえに『トゥルーマン・ショー』と並列して語るべき作品は、『エドtv』(99年作品。多額のギャラと引き換えに、リアリティ・ショーの主役として24時間の生活をすべて放送することに同意した男を描く。若きマシュー・マコノヒーが主演)ではなく、むしろテレビドラマ『X-ファイル』(93〜)や『メン・イン・ブラック』シリーズ(97〜)、あるいは『マトリックス』(99)なのではないか。『現代アメリカの陰謀論』(三交社)の著者マイケル・バーカンはこう述べる。「『だれも信じるな』がテレビ番組『X-ファイル』でいつも繰り返される呪文であるが、これには陰謀論者たちの際限のない疑念がみごとに集約されている」*3。



 陰謀を見抜き、自分の直感を信じた男が、世界の真の姿へ到達する物語。考えてみれば、ジム・キャリーは『ナンバー23』(07年作品。世の中のすべての事象が「23」の数字に支配され、関連づけられていると発見する男を描く)という、これまた陰謀論的な映画にも主演している。アメリカらしい奔放な想像力と、あらゆる事実を過度に首尾一貫した理論で説明したがる姿勢が、陰謀論めいた怪しげなフィルムとなって提示されるとき、そこにいくぶんグロテスクな興奮があることは確かだ。


 考えてみれば、『X-ファイル』『メン・イン・ブラック』『マトリックス』と、どれも個人的に大好きな映画ばかりである。アメリカらしい陰謀論のあり方をとらえた『トゥルーマン・ショー』もフェイバリットのひとつに挙げられるのだが、「真実は隠蔽されている!」と叫ぶのは、あくまでフィクションの中だけに留めておく必要がありそうだ。


【参考】

*1スラヴォイ・ジジェク『絶望する勇気 グローバル資本主義・原理主義・ポピュリズム』(青土社)p321 引用部分は、キム・カーダシアン(カーダシアン一家)を評して述べた言葉。

*2カート・アンダーセン『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史(下)』(東洋経済新報社)p372

*3マイケル・バーカン『現代アメリカの陰謀論 黙示録・秘密結社・ユダヤ人・異星人』(三交社)p13



文:伊藤聡

海外文学批評、映画批評を中心に執筆。cakes、リアルサウンドにて映画評を連載中。著書『生きる技術は名作に学べ』(ソフトバンク新書)。



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『トゥルーマン・ショー』

Blu-ray:2,381円+税

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

※2019年5月の情報です。

(C) 1998 2015 by Paramount Pictures.

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