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『エド・ウッド』“史上最低の映画監督”の監督作は本当に最低なのか?

『エド・ウッド』“史上最低の映画監督”の監督作は本当に最低なのか?

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ティム・バートン監督作『エド・ウッド』



 『エド・ウッド』製作当時のティム・バートンといえば、『バットマン』(89)シリーズや『シザーハンズ』(90)などの監督作が大成功を収めたばかり。プロデューサーとしても『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(93)を送り出したところ。名実共にヒットメーカーとして名声を確立した、そんなタイミングである。ハリウッドの頂点にたどり着いたバートンが、ハリウッドの底辺に淀み続けたエド・ウッドをどう描いたのか?


 まず、この作品ではエド・ウッドが映画業界の末端で働きだしてから、監督としてデビューをし、『プラン9・フロム・アウタースペース』を作りあげ、そのプレミア上映の行われる夜までで幕を下ろす。つまり、彼の人生で一番充実し、輝いていた時期を切り取っている。ジョニー・デップはエド・ウッドの浅薄な軽薄さを、人たらし的な魅力と解釈し、チャーミングで憎めない人物として演じている。


 また、往年の威厳をまだまだ漂わせるベラ・ルゴシ。科(しな)を作って愚痴を捲し立てるバーニー。アクと圧の強い占い師クリズウェル。夜のホラー映画番組の人気司会者ヴァンパイラ。巨漢のレスラー、トー・ジョンソンなどなど。仲間たちもいずれ劣らぬ個性的な面々として魅力たっぷりに描かれている。


 当時としては特に理解されづらかったであろう女装趣味を持ったエド・ウッドと、彼の仲間たちとの擬似家族のような関係を、ティム・バートンは焦がれるような羨望の眼差しから見つめた、そっと寄り添った作品として作り上げている。




 バートンは少年時代を陽光まぶしいカルフォルニアのバーバンクで、その陽光を「自分には不釣り合い」だと強く想いながら過ごしたそうだ。家族(特に父親)との折り合いも悪く、毎日学校が終わると自室にこもり、50年代の怪奇映画や日本の怪獣映画に没頭する日々を過ごしたという。


 そんなバートンにとって、たとえ作った映画の出来が認められなくても、奇妙な趣味を咎めない気の置けない仲間たちと愉快に過ごす情景が、羨ましく映ったのかもしれない。


 とはいえ。世間的には最低最悪な映画監督として知れ渡っているエド・ウッドを「好き」だと公言させ、その半生を映画化させるほどの魅力が、エド・ウッド監督作のどこにあるのだろうか?



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