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ジョン・ヒューズ『フェリスはある朝突然に』シカゴへの愛と映画への夢が、永遠に輝く一日を作り出す
2019.07.19
パレードには1万もの観衆が集合
『フェリスはある朝突然に』中でもシカゴロケの醍醐味を伝えるのが、パレードのシーンだ。ドイツ系が多いシカゴで、毎年10月に行われる一大フェスティバル「ジャーマン・アメリカン・シュトーベン」では、シカゴの中心街、ディアボーン・ストリートで巨大フロート車によるパレードが行われる。そのパレードにフェリスが乱入し、フロート車の上でビートルズの「ツイスト・アンド・シャウト」を口パクしながら、踊るのだ。映画でも最も盛り上がり、目立ちたがり屋のフェリスのパフォーマンスに魅了される見せ場である。
撮影は実際のパレードを「再現」。2日間に分けて行われ、ともに土曜日だった。ラジオで撮影の告知がされたことで、沿道には約1万人が集合。州知事の姿もあった。建設作業員や、ビルの清掃者など実際にそこで仕事をしている人がパレードの音楽に合わせて踊ったりもして、その様子もカメラに収められた。
フロート車に乗ったフェリスのバックダンサーの振付には、マイケル・ジャクソンの「スリラー」の動きも使われていたりするが、フェリス役、マシュー・ブロデリックに振付を行なったのは、翌年の『ダーティ・ダンシング』(87)の振付で有名になり、映画版『ハイスクール・ミュージカル』(06)や『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(09)を監督したケニー・オルテガ。
『フェリスはある朝突然に』TM and Copyright (C) 1986 by Paramount Pictures All Rights Reserved. TM,(R) & Copyright (C)2006 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
しかしブロデリックは、この直前、ビューラー家の近所の裏庭を走り抜けるシーンの撮影でヒザをケガしてしまい、ニースピンなどオルテガが用意したブレイクダンス風の振付に対応できなかった。そのため1曲目の「ダンケ・シェーン」は、ある程度、振付どおりの動きだが、続く「ツイスト・アンド・シャウト」のダンスはほぼブロデリックの即興である。しかしその結果、ぶっつけ本番の臨場感が発生したようで、パレードの観衆の盛り上がりも予想以上となったそうだ。
このパレードのシーンには、『Godzilla 1985(1984年の『ゴジラ』のアメリカ公開バージョン)』を上映している映画館が映っているが、その後、マシュー・ブロデリックが『GODZILLA』(98)に出演するのを予言しているかのようだ。