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『麗しのサブリナ』ファンション・アイコンとしてのオードリー・ヘプバーンを生んだ、ジバンシィとの出会い

Copyright (C)1954 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, (R) & Copyright (C) 2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『麗しのサブリナ』ファンション・アイコンとしてのオードリー・ヘプバーンを生んだ、ジバンシィとの出会い

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『麗しのサブリナ』あらすじ

サブリナは大富豪ララビー家のお抱え運転手フェアチャイルドの娘。年頃の彼女はララビー家の次男デイビッドに夢中だったが、パリの料理学校へ行くことに。2年後、エレガントに成長して帰国したサブリナに今度はデイビッドが夢中になる。仕事人間の長男ライナスは、サブリナを再びパリへ追いやろうと計画するが……。


Index


難航した脚本製作



 『七年目の浮気』(55)の製作準備中だったビリー・ワイルダー監督は、中断を余儀なくされる。彼のもとに、あらたな仕事が舞い込んだからだ。サミュエル・テイラーの戯曲「Sabrina Fair(サブリナ・フェア)」を原作とした、ロマンティック・コメディ映画のメガホンを託されたのだ。これが『麗しのサブリナ』(54)のはじまりだった。


 脚本チームにはワイルダーのほかに、脚本家のアーネスト・レーマン、原作者のサミュエル・テイラーが参加していた。プロジェクトは順調に進んでいるように見えたが、まったく違ったようだ。自分の戯曲に加えられた一部の変更に納得できず、テイラーが早々に離脱してしまったのだ(その一方で、同時期には舞台版「サブリナ・フェア」のリハーサルが予定されていた。テイラーは舞台の方に参加するため、やむなく離脱したともいわれている)。


『麗しのサブリナ』予告


 残されたふたりは岐路に立たされていた。原作者が去ったうえに、脚本にはセクシュアリティな問題までもが浮上していたのだ。あの清楚なオードリー・ヘプバーン演じるサブリナというキャラクターに、よもや性的なシナリオが絡んでくるからだ。ヘプバーンの問題以前に、この当時の検閲制度は度が越したほどに厳しかった。MPAA(アメリカ映画協会)による検閲では、性的シーンはご法度だった。当時の映画製作者にとって、この検閲をうまくかいくぐることが最初の大仕事だったのだ。


 田舎町の無垢な少女を、成熟した大人の女性へと進化させるには、そういうふうな性的シーンなしでどうやって観せればいいのか。清純派から成熟派への心身的なチェンジを体現するには、どうすればいいか。



『麗しのサブリナ』Copyright (C)1954 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, (R) & Copyright (C) 2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.


 ワイルダー監督は考えた。考え付いたのが、サブリナの服装の変化だった。ジャンパースカート姿の貞操を守る女の子から、カクテルドレスを着飾る美しい女性へと、服飾の変化でもって、性的な成長をほのめかしたのだ。あとはデザイナーを探すだけだった。サブリナの成長を服装だけで表現できうる、敏腕デザイナーを。



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