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『追跡者』20年以上経った今こそ見直したい、堅物ジョーンズと異端児ダウニーJr揃い踏みアクション

(c)Photofest / Getty Images

『追跡者』20年以上経った今こそ見直したい、堅物ジョーンズと異端児ダウニーJr揃い踏みアクション

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『追跡者』あらすじ

ニューヨークに向かう護送機が、機内での銃撃戦をきっかけに墜落する。その事故に便乗して逃亡した、謎を秘めた犯人シェリダン。同乗していたジェラード連邦保安官の執拗な追跡が再び始まる。


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スピンオフという奇策



 93年にハリソン・フォード主演で映画化された『逃亡者』は、妻殺害の濡れ衣を着せられた医師が移送中に逃亡し、自分の手で真犯人を突き止めようとするサスペンスだった。


 逃げる容疑者と、彼をとことん追い詰めていく法の番人。両者の関係性は、一説では「レ・ミゼラブル」のジャン・ヴァルジャンとジャヴェール警視にも影響を受けているそうで、こういったところにも古典的な題材を絶妙な感度で蘇生させた巧さが見て取れる。


 結果的に『逃亡者』はアカデミー作品賞を始めとする7部門に候補入り。連邦保安官役のトミー・リー・ジョーンズに助演男優賞のオスカーをもたらし、映画そのものも世界中で大ヒットを記録した。


 となると、ハリウッドの常識としてすかさず続編製作の可能性が浮上してくるわけだが、この時に持ち出された「スピンオフ」という概念は、当時の映画ファンを驚かせるのに十分な、なかなかの奇策であった。すなわち製作者たちはハリソン・フォード演じる医師に別れを告げ、追う側のジェラード連邦保安官に軸足を据えた新たなストーリー展開を模索したのである。


 さて、こうして出来上がった映画『追跡者』(原題:U.S. Marshals)について、皆さんはどんな感想をお持ちだろうか。


『追跡者』予告


 全米ボックスオフィスの数字を紐解くと、本作は『タイタニック』(97)大ヒットの陰でうまく振るわず、興行的に全くいいところが見せられないまま、ランクを落としていった印象がある。その上、当時の世間では何かと『逃亡者』の素晴らしさを引き合いに、本作を酷評するケースが相次いだ。こういった状況を受けて、最初は「第3弾も行くぞ!」と息巻いていた製作陣もいつしか声をトーンダウンさせていった。


 だが、いま改めて振り返ってみて、「それほど悪い映画か?」と思う。確かにドラマとして決してスマートとは言えない。が、あれから20年が経ち、TVで何度もオンエアされ、動画配信サービスなどの視聴手段も増える中で、拙さや大味な展開も全部込みで、一つのにぎやかな個性として定着した感も否めない。少なくとも私の中では、放送しているとついつい最後まで観てしまう、愛すべき類の作品の一つだ。



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