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物議を醸した問題作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のクレージーな内幕を暴く!

物議を醸した問題作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のクレージーな内幕を暴く!


 ハリウッドのメジャー・スタジオが製作した映画の中でも、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(以下NBK)ほどクレージーな作品は珍しい。理由もなく犯行を重ねる殺人鬼カップルの逃避行というアンチモラルなドラマもさることながら、実写とアニメ、カラーにモノクロ、デジタル合成、ニュース映像や記録映像など多彩なビジュアル表現を駆使、カット数は通常の映画の4~5倍に相当する3,000以上、使用楽曲は80曲以上と、とにかく過剰で刺激が強い。監督のオリバー・ストーンは事件性や社会性の強い題材を圧倒的な筆圧で描くことで知られているが、その剛腕も手伝い、米『ENTERTAINMENT WEEKLY』詩が選んだ“史上もっとも物議を醸した映画”でもトップテン入りを果たしたほどだ。そんな映画だけに、クレージーな展開は実は製作の段階から始まっていたのだが、ここではそれを整理してみよう。


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新人監督のデビュー作が、ハリウッドの大作に変わるまで



 ご存知のとおり、本作のはじまりは無名時代のクエンティン・タランティーノが執筆した脚本。1989年に米脚本家協会に提出されたこの脚本で、彼は監督デビューを果たそうとしていた。プロデューサーは、彼と同じく映画界入りを目指していた旧友ランド・フォスラー。彼らは資金集めに奔走するが、当然のことながら、無名のふたりがハリウッドで簡単に受け入れられるはずがない。そうこうしているうちに、タランティーノは同じく新進のプロデューサー、ローレンス・ベンダーのもとで進めていた『レザボア・ドッグス』(92)で監督デビューできるとの手ごたえを得て、そちらにかかりっきりになる。


 取り残されたフォスラーは、タランティーノの許可を得て『NBK』を自分で監督しようと動き、ドン・マーフィとジェーン・ハムシャーの野心的プロデューサー・コンビと組むが、これが後に過ちであったことが判明する。彼らの介入により、脚本はより多くの人の目に留まった。これによりフォスラーよりも名の知れた映画監督が映画化に名乗りを上げ、映画化権をめぐる争いは訴訟に発展。立場の弱いフォスラーは降りざるをえなくなったばかりか、企画を手放したことでタランティーノとも仲違いしてしまう。




 混乱はさらに続く。マーフィとハムシャーの手によって、ハリウッドの大手スタジオ、ワーナー・ブラザースに売り渡された脚本に、演技派俳優ショーン・ペンが興味を示した。『インディアン・ランナー』(91)で監督デビューを果たそうとしていた彼は、これを2本目の監督作にしたいと思っていた。ところが、さらに大物の監督が「これを撮りたい」と訴えてくる。『プラトーン』(86)でアカデミー賞に輝いたオリバー・ストーン。監督として未知数のペンより、ワーナーで『JFK』(91)を成功させた監督に撮らせる方がリスクが少ないと、スタジオが考えるのは当然だろう。ただでさえアンチモラルでリスキーな企画だ。『JFK』のような問題作をフルスイングで描き切ったストーンなら質的にも興行的にも任せて安心、というわけだ。この決定により、ストーンとペンの間には、しばしの間しこりが残った。



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